ラジオ・ウォール・オブ・サウンド

ラジオ・ウォール・オブ・サウンド (Radio Wall Of Sound)

スレイドが1991年に発表したシングル「ラジオ・ウォール・オブ・サウンド」は、バンドの音楽性の新たな一面を示すとともに、彼らにとって最後のシングルチャート入りを果たした楽曲として、特別な意味を持っています。この曲の誕生からリリース、そして評価に至るまでを掘り下げて解説します。

楽曲の背景と制作

「ラジオ・ウォール・オブ・サウンド」は、元々ジム・リーによるソロ曲として構想されました。リー自身が「スレイドの曲のように聴こえる」と感じていたこの曲は、デモ音源を基に制作が進められました。レコーディングは、ロンドンのベースメント・スタジオとバーミンガムのリッチ・ビッチ・スタジオで行われました。通常、スレイドの楽曲ではノディ・ホルダーがリード・ボーカルを務めますが、この曲ではリッチ・ビッチ・スタジオでのレコーディング中に火災が発生したこと、さらにキーの問題から、ジム・リーのデモ音源がそのまま採用されることになりました。

楽曲にDJによるボイスオーバーを取り入れるというアイデアは、放送作家で司会者のマイク・リードに持ち込まれました。リードは自伝の中で、「アメリカンスタイルのDJの話し声が必要だと感じた彼らが、私に協力を求めてきた」と当時を振り返っています。

リリースと収録曲

「ラジオ・ウォール・オブ・サウンド」は、コンピレーション・アルバム『ウォール・オブ・ヒッツ』からの先行シングルとしてリリースされました。7インチシングル、マキシシングル、シングル・カセット、そしてイギリスでは12インチシングルとしても発売され、B面にはデイヴ・ヒルと元ウィザードのビル・ハントによる共作曲「レイ・ユア・ラヴ・オン・ザ・ライン」が収録されました。また、12インチシングルとマキシシングルには、1973年のヒット曲「カモン!!」がカップリングとして追加収録されています。

全英シングルチャートでは最高位21位を獲得し、1984年以来のトップ40入りを果たしました。

プロモーションと評価

ウィリアム・クラークが監督を務めたミュージック・ビデオは、ラジオ局の屋上でメンバーが演奏するという内容で、1991年9月に撮影されました。また、イギリスの音楽番組『トップ・オブ・ザ・ポップス』や『Motormouth』でも演奏され、楽曲のプロモーションに貢献しました。

メディアからの評価も高く、『ニュース・オブ・ザ・ワールド』紙のジョン・ミラードは、「70年代のスレイドの騒々しく、生き生きとした全盛期を思い出させる」と評しました。ボブ・スタンリーは、著書の中でこの曲を「バンドの近代のキャリアにおける『輝かしい瞬間』」と評しています。

シングル収録曲

1. ラジオ・ウォール・オブ・サウンド
2. レイ・ユア・ラヴ・オン・ザ・ライン

クレジット

スレイド

ノディ・ホルダー - ボーカル
ジム・リー - リード・ボーカル、ベース、プロデューサー
デイヴ・ヒル - リードギター
ドン・パウエル - ドラム

外部ミュージシャン

マイク・リード - DJボイス
ザ・レジャー・プロセス - デザイン

カバー・バージョン

ミック・ホワイトによるカバーバージョンが、トリビュート・アルバムに収録されています。

「ラジオ・ウォール・オブ・サウンド」は、スレイドの音楽的な多様性と、ジム・リーの才能が光る楽曲として、今もなお多くのファンに愛され続けています。

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