ラジオ・フリー・ヨーロッパ

ラジオ・フリー・ヨーロッパ／ラジオ・リバティー（RFE/RL）とは

ラジオ・フリー・ヨーロッパ／ラジオ・リバティー（Radio Free Europe/Radio Liberty、RFE/RL）は、アメリカ合衆国議会の出資によって運営されている報道機関です。東ヨーロッパからロシアを主な対象地域とし、ラジオ放送を中心に情報発信を行っています。本部はチェコのプラハに置かれています。

RFE/RLの活動概要

RFE/RLは、ヨーロッパと中東に拠点を持ち、短波、AM、FMラジオ、そしてインターネットを通じて、週に1000時間以上、28の言語で放送を行っています。その公式な任務は、「事実に基づいた情報と多様な思想を広めることで、民主的な価値と制度を促進する」ことです。

歴史

冷戦初期

1949年6月、ニューヨークで「自由ヨーロッパ国民委員会」が設立され、その放送部門としてRFEが誕生しました。当初は西ドイツのミュンヘンに本部を置き、1950年7月4日にチェコスロバキアに向けて初の短波放送を行いました。運営資金はアメリカ議会から提供されていましたが、1971年まではCIAを通じてRFEに渡されていました。CIAは、RFEの放送を鉄のカーテン（東側諸国）の向こう側への心理戦の一環と位置づけ、放送内容に深く関与していました。

CIA関与の終焉と組織再編

1971年にRFEは非営利法人として再設立され、国際放送委員会（BIB）の監督下に入り、予算が公開されるようになりました。これにより、CIAによる資金提供は公に知られることとなりました。

ラジオ・リバティーとの統合

1975年、RFEは同じく反共主義の組織であったラジオ・リバティーと統合し、正式名称をRadio Free Europe/Radio Liberty (RFE/RL) としました。

冷戦下の活動と妨害

ソ連当局はRFE/RLの放送を常に妨害しようとし、その試みは1988年まで続きました。1981年には、ミュンヘンの本部がルーマニアの諜報機関による爆弾テロに遭うという事件も発生しました。RFE/RLはチェルノブイリ原発事故についても東欧側に報道を行いました。

活動の拡大と縮小

1985年から1993年まで、RFE/RLはラジオ・フリー・アフガニスタンも運営していました。ソ連崩壊後の1991年には予算が削減され、1995年には本部をプラハに移転しました。ヨーロッパでの活動は縮小しましたが、一方で、ラジオ・フリー・イラクやペルシア語放送（後のラジオ・ファルダ）を開始するなど、活動は多様化しました。また、コソボでの放送を開始し、ラジオ・フリー・アフガニスタンを再開しました。

サッダーム・フセインによる攻撃計画

2009年11月、イラクのサッダーム・フセイン元大統領が2000年にRFE/RLのプラハ本部を攻撃するよう命じていたことがチェコの情報機関によって明らかにされました。この計画は、西側の情報が浸透することを恐れたサッダームが、配下の情報機関に破壊工作を命じたものでした。しかし、チェコの情報機関が事前に計画を察知し、未遂に終わりました。

ロシアのウクライナ侵攻以降

2022年のロシアによるウクライナ侵攻以降、多くの特派員がロシア国外に拠点を移すことを余儀なくされました。リガの事務所はプラハに次ぐメディアハブとなり、数十人の地方通信員がロシア国内での活動を続けています。また、同年12月にはアフガニスタンのタリバン暫定政権が、RFE/RLの放送受信を一部の州で禁止しました。

その他の活動

RFE/RLは、国際放送協会(BIB)の後継である「米国放送協会」の一翼を担っています。

関連事項

冷戦
プロパガンダ
ボイス・オブ・アメリカ（VOA）
ラジオ・フリー・アジア（RFA）
国際放送
アレクサンドル・シュメーマン（ソ連支配下の正教徒に向け、ラジオ・リバティを通じて説教を行った正教会の司祭・神学者）
ハンガリー動乱

外部リンク

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