ラジオ大阪の歌

『ラジオ大阪の歌』（ラジオおおさかのうた）は、近畿広域圏を放送対象地域とするラジオ局、ラジオ大阪（OBC）の公式ステーションソングです。この楽曲は、一般には「OBCソング」という通称で広くリスナーに親しまれています。作詞は、作家として広く知られる野坂昭如氏が、作曲は、数多くのヒット曲やCMソングを手掛けたいずみたく氏が担当しました。

歴史と特徴

『ラジオ大阪の歌』は、日本の民間放送の歴史において非常に重要な位置を占める楽曲です。1961年に誕生し、これは日本の民間放送局が制作・使用したステーションソングとしては初めての事例となりました。同時代には、作詞の野坂氏、作曲のいずみ氏のコンビが、文化放送のステーションソング「QRソング」や東海ラジオ放送のテーマソングも手掛けています。

この楽曲の最も特徴的な点の一つは、ラジオ大阪のAM放送で使用する周波数の数字が歌詞の一部に組み込まれていることです。ラジオ放送の周波数は、時代とともに変更されることがあり、その度に『ラジオ大阪の歌』の歌詞も周波数に合わせて改訂されてきました。初代の歌詞では、当時の周波数である1380kc（キロサイクル）にちなんで、「1・3・8・0（いち・さん・はち・まる）」という数字が歌われていました。その後、周波数が1310kcに変更された際に歌詞も「1・3・1・0（いち・さん・いち・まる）」へと改められました。さらに、1978年の周波数改定によって現在の1314kHz（キロヘルツ）となった際には、歌詞も「1・3・1・4（いち・さん・いち・よん）」を含む形に変更されました。これらの数字は、リスナーにとってラジオ大阪を同定するための重要なキーワードとなり、歌詞を通じて局の歴史的な変遷を感じることができます。

歌詞の改訂は周波数に関連する部分だけでなく、他のフレーズにも適用されています。例えば、カーラジオの普及といった社会や技術の変化に合わせて、当初の歌詞から表現が変更されるなどのマイナーチェンジが適宜施されてきました。一方で、2016年 3月19日から本放送が開始されたFM補完放送（ワイドFM、周波数91.9MHz）については、その周波数が歌詞に新たに追加されることはなく、放送では引き続き「1・3・1・4」を含むバージョンの使用が継続されています。

現在の放送状況と音源

現在、『ラジオ大阪の歌』は、主に放送機器のメンテナンスに伴う放送休止前と再開前の時間帯にフルバージョンが放送されています。具体的には、月曜日の深夜0時0分頃から約3分間、および同日早朝の4時56分頃から約3分間です。これに対し、それ以外の曜日では、タイムテーブル上の日付が変わる直前の4時58分頃から、約60秒に短縮されたショートバージョンが放送されることがあります。この60秒バージョンには、楽曲が制作された背景や経緯を説明するナレーションが付加されており、リスナーに楽曲の歴史を伝える役割も担っています。

かつては、ラジオ大阪の公式サイト上で『ラジオ大阪の歌』の歌詞全文が公開されており、携帯電話向けの着メロ音源も無料でダウンロードできるサービスが提供されていました。しかし、これらのコンテンツは現在、公式サイトからは削除されており、直接アクセスすることはできません（過去のウェブサイトアーカイブなどで閲覧可能な場合もあります）。

公式な音源としては、CDに収録されています。「EAT & RUN サウンドトラック」や、ラジオ大阪の番組関連CD「V-station THE BEST」などに収録されており、これらのCDを入手することで楽曲を聴くことが可能です。これらのCDは、主にラジオ大阪関連のウェブサイトからの通信販売を通じて購入できます。

その他のステーションソング

ラジオ大阪では、『ラジオ大阪の歌』の他にも、時期によって異なるステーションソングが使用されていたことがあります。AM放送の周波数が1310kcに変更された1971年11月1日からは、作詞・伊藤アキラ、作曲・小林亜星による楽曲「ちいさなひとこと」が『ラジオ大阪の歌』と併用されました。この楽曲も周波数を歌詞に含んでおり、1978年の周波数変更時には音源が録り直されましたが、1980年代以降はあまり使用されなくなりました。また、1984年度には、シンガーソングライターのEPO氏が手掛けた「With You」も、ステーションソングとして一時的に併用されたことがあります。

『ラジオ大阪の歌』は、局のアイデンティティを示す楽曲として、長い歴史の中で様々な変化を取り込みながら、今なおラジオ大阪と共に時を刻んでいます。単なる局のテーマソングとしてだけでなく、日本のラジオ放送史の一端を示す文化的な存在とも言えるでしょう。

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