ラジャン川

ラジャン川：ボルネオ島を潤す大河

ラジャン川は、マレーシアのサラワク州を流れる、ボルネオ島北西部を代表する大河です。マレー語ではスンガイ・ラジャン、現地ではバタン・ラジャンとも呼ばれます。イラン山脈に源を発し、南シナ海へと注ぐ全長約563キロメートルの長大な川は、マレーシア国内で最も長い川として知られています。

川沿いの主要都市

川沿いで最大の都市はシブで、河口から約60キロメートル地点に位置しています。シブに次いで大きい都市はカノウィットで、カノウィット川がラジャン川に合流する場所にあります。カノウィットは、南シナ海沿岸から約174キロメートル、シブから船で約4時間の場所に位置します。さらに上流には、カピットという都市があります。これらの都市以外にも、ソンやベラガなどの小さな町が川沿いに点在しています。

古代の姿：スンダランド時代の巨大河川

更新世から中石器時代にかけて、約1万年前まで地球の気温は現在よりも約5度低く、キナバル山などの高山には氷床が存在していました。この寒冷期には、世界的な水循環が変化し、海水流入量が減少し、海面は現在よりも約120メートルも低下しました。その結果、南シナ海はスンダ陸棚として陸化し、かつて海溝であった場所にはノース・スンダ川という巨大な河川が形成されました。

アジア本土、マレー半島、スマトラ島、ジャワ島は、広がったスンダ陸棚を通じて陸続きとなり、ボルネオ島と結合していました。ノース・スンダ川は、この陸塊における主要な水路となり、北はベトナムのメコン川やタイのチャオプラヤー川、東はバラム川やラジャン川、西はパハン川やロンピン川と繋がっていました。

この時代、これらの川に生息していた淡水魚は、自由に移動と交配を行い、遺伝子を交換しました。完新世に入り、気温が上昇するとスンダランドは水没し、それぞれの川の淡水魚は孤立することになりました。しかし、現在でもラジャン川に生息するナマズの遺伝子には、かつてこの川がインドネシアやボルネオ、アジア本土の川と繋がっていた証拠が残されています。

自然環境

ラジャン川の流域には、ラジャン・マングローブ国立公園が設置されており、豊かな自然が保護されています。

出典

* Exploring Rajang Mangroves National Park, Sarawak, Malaysia

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