ラジーブ・ミスラ

ラジーブ・ミスラ（Rajeev Misra、1962年 - ）は、アメリカ合衆国を拠点に活動する実業家です。ソフトバンクグループの米国戦略子会社であるSoftbank Internet and Media, Inc.(SIMI)において、戦略的ファイナンス責任者を務めています。また、ソフトバンク・ビジョン・ファンド設立プロジェクトを主導した人物としても知られています。

経歴

インド出身のミスラは、ペンシルベニア大学で機械工学の理学士号とコンピューター科学の理学修士号を取得。その後、MITスローン経営学大学院でMBAを取得しました。

1996年、ドイツ銀行に入社し、投資部門の立ち上げに携わります。2008年6月までクレジット部門のグローバルヘッドを務めました。その後、2009年5月25日にUBSに移籍し、クレジット部門責任者に就任。2010年1月25日には、債券・通貨・商品(FICC)部門の共同責任者、2012年11月からは世界金融ソリューションズ部門を率いました。

2014年4月15日にUBSを退職し、フォートレス・インベストメント・グループ（英語版）に移籍し、シニア・マネジングディレクターに就任しますが、同年10月14日に退職。同年11月3日、ソフトバンクグループのSIMI戦略的ファイナンス責任者に就任しました。また、ほぼ同時期の10月30日には、地元インドの映画会社であるエロス・インターナショナルの取締役も受諾し、株主総会で選出される予定となっています。

2016年10月、ソフトバンク・ビジョン・ファンドの責任者に抜擢されました。

メディアの注目と社内抗争

ミスラの輝かしい経歴は、メディアの注目を集めています。しかし、報道によると、その成功の裏には、ソフトバンク社内での権力闘争があったとされています。ミスラは、社内の主要なライバルと目されていた2人を標的に、巧みな妨害工作を仕掛けたとされています。具体的には、ライバルに関するネガティブな情報を流したり、ソフトバンクに彼らの解任を迫るよう株主を扇動したり、さらには「ハニートラップ」を用いて性的恐喝行為を企てようとしたと報じられています。これらの情報は、事情に詳しい複数の人物の話と、ウォール・ストリート・ジャーナル（WSJ）が確認した文書によって明らかになったとされています。

ミスラの狙いは、ソフトバンク創業者の孫正義氏の右腕としての地位を手に入れることでした。孫氏は、IT業界に数十億ドル規模の投資を行い、配車大手ウーバー・テクノロジーズなどの急成長スタートアップ企業に資金を提供しています。最近では、シェアオフィス運営大手ウィーワークへの巨額投資で大きな損失を被りましたが、ミスラはこれらの投資において重要な役割を果たしました。ソフトバンクグループは、通信会社や半導体設計会社、ロボットメーカーなど、既に多様な企業を傘下に収めていますが、ビジョン・ファンドは、これらの事業をさらに拡大する原動力となりました。

ミスラが標的としたのは、かつて孫氏の後継者として最高経営責任者（CEO）職を引き継ぐと目されていたニケシュ・アローラ氏と、大型買収で孫氏と密接に協力するようになっていたアローラ氏の補佐役を務めていたアロック・サーマ氏でした。アローラ氏は2016年に、サーマ氏は2019年4月にソフトバンクを去っています。

関連事項

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