ラスト・ワルツ

ラスト・ワルツ (The Last Waltz)

『ラスト・ワルツ』は、1976年11月25日にアメリカのロックバンド、ザ・バンドがカリフォルニア州サンフランシスコのウインターランドで行った解散ライブです。このイベントは、同名の記録映画やサウンドトラックアルバムとしても知られています。そして、ザ・バンドはこのイベントで豪華なゲストを招き、彼らの音楽キャリアの最後を飾ることとなりました。

概要

この解散ライブは、ザ・バンドのリーダーでギタリストのロビー・ロバートソンの提案により実現しました。彼はツアー生活の疲労を理由に、これを最後のライブにすることを決断し、今後はレコーディング活動に専念したいと考えました。しかし、他のメンバーはこの想いに賛同せず、特にドラムとボーカルを担当するリヴォン・ヘルムは、ツアーを続けたいと強く主張していました。そのため、ロバートソンのアイデアは必ずしも全員の合意を得られたわけではなかったのです。しかし、憧れのアーティスト、マディ・ウォーターズを招くことで、ライブは何とか実現に至りました。

チケットと準備

この日のイベントは、感謝祭の日でもあり、観客には花が配られました。イベントのチケット価格は25ドルで、当時の著名なミュージシャンのライブに比べて高額でした。そのため、チケットは売れ残ることもあり、当日券も販売されました。最初の1時間にはワルツを踊るという趣向もあり、豪華なディナーも用意されていました。

豪華なゲストたち

多くの有名アーティストがこのイベントに参加しました。ボブ・ディランやニール・ヤング、エリック・クラプトンなど、そうそうたるメンバーが揃いましたが、出演者の中にはロビー・ロバートソンとの親交が薄いニール・ダイアモンドもいました。開催直前まで参加に対して議論が交わされ、ヘルムが彼を呼ぶことに疑問を感じていたものの、最終的には彼の参加が決まりました。

ボブ・ディランは興味深い事情から、出演ステージの撮影を拒否しましたが、交渉の末にフィナーレでの参加が許可されました。その結果、ディランは想像以上の歓声を浴び、「いつまでも若く」を演奏する際に、さらに自由に歌い出す一幕もありました。これは、ディランのファンにとっても印象深い瞬間となりましたが、撮影サイドの緊迫したやり取りも映画の中で語り継がれています。

映画化とサウンドトラック

このイベントは、マーティン・スコセッシ監督のもとで映画化され、1978年に公開されました。また、サウンドトラックとしてLPもリリースされましたが、本来演奏された楽曲の一部しか収録されていなかったため、その内容は議論が分かれるところとなりました。さらに、映画やサウンドトラックにおいては、演奏技術が期待外れだったという指摘もあり、特にロバートソンのギター音には厳しい意見が寄せられました。

このイベントは、まさに音楽史に残る一大イベントであり、ザ・バンドにとっても多くのアーティストにとっても特別な想いで語られるものとなりました。参加したアーティストたちは、この日を忘れることができない思い出として心に刻み、現在でもその余韻が続いています。

もう一度検索