ラスボラ

ラスボラとは

ラスボラは、コイ目コイ科ダニオ亜科に属する小型魚のグループで、東南アジアを中心に生息する淡水魚です。観賞魚として世界中で親しまれており、その穏やかな性質から、他の魚との混泳も比較的容易です。また、人工餌にもよく慣れ、飼育しやすい点も人気の理由です。

分類と変遷

以前は「ラスボラ属」にまとめられていた魚たちですが、分類の見直しが進み、1993年にボララス属、1999年にはトリゴノスティグマ属、スンダダニオ属が独立しました。また、ミクロラスボラ属の魚は、ミクロラスボラの通称で呼ばれることもあります。

各属の代表的な種

トリゴノスティグマ属

ラスボラ・ヘテロモルファ (Trigonostigma heteromorpha):
別名：ハーレクイン・ラスボラ、バチウオ
体長：約4.5cm
特徴：三味線のバチのような模様が特徴で、ラスボラ類の中で最も流通量が多いです。マレー半島やスマトラ島が原産です。
ラスボラ・エスペイ (Trigonostigma espei):
別名：ラムチョップ・ラスボラ
体長：約3cm
特徴：ヘテロモルファよりも黒い模様が細く、全体的に赤い体色が特徴です。タイ、マレーシア、インドネシア原産で、水草が繁茂する場所に生息します。
ラスボラ・ヘンゲリ (Trigonostigma hengeli):
別名：グローライト・ラスボラ
体長：約3cm
特徴：エスペイに似ていますが、赤色発色が線状に見えます。ボルネオ島やスマトラ島に分布します。
Trigonostigma somphongsi:
体長：約2.5cm
特徴：タイ原産。

ボララス属

ボララス・マクラートゥス (Boraras maculatus):
別名：ドワーフ・ラスボラ、ピグミー・ラスボラ
体長：約1.5-2.5cm
特徴：全身が赤く、数カ所に黒い斑点があります。マレー半島からスマトラ島にかけて生息します。
ボララス・ウロフタルモイデス (Boraras urophthalmoides):
別名：リースト・ラスボラ
体長：約2-4cm
特徴：マクラートゥス同様に赤い体色ですが、側面中央の黒斑が線状に伸びています。
ボララス・ブリギッタエ (Boraras brigittae):
別名：モスキート・ラスボラ
体長：ウロフタルモイデスと同程度
特徴：ボルネオ島南部に生息しています。
ボララス・メラー (Boraras merah):
体長：約2cm
特徴：ボルネオ島南部に生息し、黒斑がマクラートゥスに似ています。
ボララス・ミクロス(Boraras micros):
体長：約1.5cm未満
特徴：黒斑がマクラートゥスに似ています。

スンダダニオ属

ラスボラ・アクセルロディ (Sundadanio axelrodi):
別名：アクセルロッド・ラスボラ
体長：約2-2.5cm
特徴：ブルータイプとレッドタイプがあり、それぞれ体色や模様が異なります。ボルネオ島やスマトラ島に分布しています。

ラスボラ属 (再編後)

金線ラスボラ (Rasbora borapetensis):
別名：レッドテール・ラスボラ
体長：約4-5cm
特徴：体側の黒線と金色のライン、赤い尾びれが特徴的です。流通量が多く、代表的な種です。
ラスボラ・ルブロドーサリス (Rasbora rubrodorsalis):
体長：約3cm
特徴：金線ラスボラに似た模様を持ち、背びれや尾びれの付け根が赤いです。
アイスポット・ラスボラ (Rasbora dorsiocellata):
別名：ブルーアイ・ラスボラ
体長：約6cm
特徴：目の青い光が特徴です。ブルーアイ・ラスボラと呼ばれる亜種もいます。
レッドライン・ラスボラ (Rasbora pauciperforata):
体長：約7cm
特徴：体側に太いオレンジ色から赤色の線が入ります。ヒレが長いのが特徴です。
シザーステール・ラスボラ (Rasbora trilineata):
体長：約13cm
特徴：3本の黒いラインが特徴で、世界中で広く流通しています。
ラスボラ・スピロセルカ (Rasbora spilocerca):
体長：約2.5cm
特徴：シザーステールに似ていますが小型です。
ラスボラ・カロクロマ (Rasbora kalochroma):
別名：クラウン・ラスボラ
体長：約10cm
特徴：胸びれと尻びれの上に黒い斑点があります。体色は赤みがかります。
ラスボラ・アイントベニー (Rasbora einthovenii):
別名：ブリリアント・ラスボラ
体長：約5-9cm
特徴：体側の太い黒線が特徴です。輝きを持っています。
ラスボラ・アギリス (Rasbora agilis):
体長：約5cm
特徴：薄い黒線と黄色い線が特徴です。
ラスボラ・エレガンス (Rasbora elegans):
体長：約13-20cm
特徴：大型で、体側中央と尾びれの付け根に大きな黒斑があります。
ラスボラ・ダニコニウス (Rasbora daniconius):
体長：約15cm
特徴：頭部から尾びれの付け根まで黒い線が走っています。
ラスボラ・バンカネンシス (Rasbora bankanensis):
体長：約4cm
特徴：光沢のある体、黒く縁取られた鱗、尻びれの黒いスポットが特徴です。
ラスボラ・ブリタニ (Rasbora brittani):
体長：約5cm
特徴：マレー半島やインドネシアに分布します。

ミクロラスボラ属

ミクロラスボラ・ルベスケンス (Microrasbora rubescens):
別名：ピンクラスボラ
体長：約3cm
特徴：ピンク色の体色が特徴です。背部に緑色の発色を持つ個体群は「アジアンカージナルラスボラ」と呼ばれます。
ミクロラスボラ・クボタイ (Microrasbora kubotai):
別名：ミクロラスボラ・ブルーネオン
体長：約3cm
特徴：観賞魚として人気があります。
ミクロラスボラ・ガテシィ (Microrasbora gatesi):
別名：ミクロラスボラ・パープルネオン
体長：約3cm
特徴：クボタイに似た印象の種です。
ミクロラスボラ・ナナ (Microrasbora nana):
体長：約2cm未満
* 特徴：非常に小型で、背びれに黒い斑が入ります。

飼育について

ラスボラ類は、小型で温和な性格であるため、他の小型魚との混泳に適しています。水草水槽との相性も良く、レイアウトを楽しみながら飼育できます。適切な水質管理とバランスの取れた餌やりを心がけましょう。

まとめ

ラスボラは、多様な種類と美しい姿で、アクアリウムの世界を彩る魅力的な魚たちです。この記事が、ラスボラの飼育に興味を持つ方々の参考になれば幸いです。

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