ラタキア沖海戦

ラタキア沖海戦

ラタキア沖海戦（英語：Battle of Latakia、アラビア語：معركة اللاذقية）は、1973年10月7日にイスラエル海軍とシリア海軍との間で行われた重要な海戦です。この戦いは、第四次中東戦争の中で発生し、艦対艦ミサイルが実戦で初めて使用されたこと、また電子戦による欺瞞が行われた点で、海戦の歴史において特に注目される事例とされています。

戦闘までの経過

1973年9月30日、エジプト艦隊の異常な動きを受け、イスラエル海軍では警戒が強化されました。先任情報将校ラミ・ルンツ大佐は海軍司令官ベンヤミン・テレム少将に、戦争の兆候が見られると報告しました。しかし、当初はこれに同意しなかった参謀本部諜報局長エリ・ゼイラ少将もあったものの、10月1日にはエジプト海軍が警戒体制に入ったことが確認され、警戒態勢が強化されました。

イスラエル海軍は10月2日から4日にかけて、ミサイル艇による機動演習を実施し、実戦に備えた準備を整えましたが、情報の変化を受け、4日午前中に全ての休暇を取り消して警戒体制に入ることが決定されました。6日には、シリアの南下に備えた海軍艦艇が北上することが決まり、戦闘の準備が進められました。

戦闘の推移

ラタキア沖における作戦は、6日の夜に始まりました。バルカイ大佐率いる北方任務部隊はシリア艦隊の撃滅を目指して進出し、到達した際に敵艦を沈める権限が付与されました。進路をラタキア港に向けて大きく回した後、イスラエル艦隊はシリア艦隊に接近しました。

22時28分、ラタキア沖でシリア軍の魚雷艇を一隻発見し、攻撃によって撃破しました。その後、シリア海軍の掃海艇が逃走を図るも、イスラエル側が距離を詰め、次々とシリア艦艇を撃沈していきました。特にシリアのミサイル艇との交戦では、電子攻撃によってシリア海軍のミサイルが不発となり、イスラエル側は被害を受けることなく、積極的に反撃に移りました。

残されたシリア軍のミサイル艇も次々と撃沈され、最終的には5隻のシリア艦艇が壊滅的な被害を受け、イスラエル側には損害がありませんでした。11日には再度ラタキアを攻撃し、シリア軍は反撃を試みましたが、これも失敗に終わりました。

この戦闘を通じて、シリア海軍は以後、港外に出撃することがなくなり、国際的な関心を集めることとなったのです。戦闘は、海軍戦術における新たな展開を示し、後の海戦に大きな影響を与えることとなるでしょう。特に電子戦や艦対艦ミサイルの実戦使用は、以後の海戦の戦術にも繋がっていくことになります。

もう一度検索