ラッシュライフ

伊坂幸太郎『ラッシュライフ』解説

『ラッシュライフ』は、伊坂幸太郎による日本の小説。2002年に新潮ミステリー倶楽部から刊行され、後に新潮文庫にも収録されました。複数のストーリーが同時進行し、最終的に意外な結末を迎える構成が特徴で、伊坂作品の中でも特に高い人気を誇ります。2009年には映画化もされました。

あらすじ

物語は、一見無関係に見える複数の人物たちの人生が複雑に絡み合いながら展開していきます。

拝金主義の画商・戸田
新進気鋭の女性画家・志奈子
独特の美学を持つ泥棒・黒澤
未来を見通す力を持つ新興宗教の教祖・高橋
自殺した父親を持つ高橋の信者・河原崎
不倫相手との再婚を企むカウンセラー・京子
職を失い途方に暮れる中年男性・豊田

これらの人物たちの思惑や行動が、予期せぬ連鎖を生み出し、物語は読者を驚愕の結末へと導きます。

主な登場人物

戸田: 裕福な画商。絵画を金儲けの道具としか考えていない拝金主義者。
志奈子: 戸田に才能を見出された新進の女性画家。戸田の付き人として契約している。
黒澤: 泥棒。仕事に独自の美学を持つ。伊坂作品の『重力ピエロ』や『フィッシュストーリー』にも登場する人気キャラクター。
高橋: 新興宗教団体の教祖。未来を予知する能力を持つ。
河原崎: 高橋の宗教団体の信者。父親を自殺で亡くし、神に傾倒している。
塚本: 高橋の宗教団体の幹部。河原崎に「神の解体」という謎の行動を手伝わせる。
京子: カウンセラー。サッカー選手の青山と不倫関係にある。
青山: サッカー選手。京子と不倫関係にある。
豊田: 職を失い、家族に見捨てられた中年男性。絶望の淵に立たされている。
佐々岡: 元画商。戸田から独立を企てるも、画家を引き抜かれ仕事を失う。
伊藤: 『オーデュボンの祈り』に登場する人物。未来を予知する案山子について語る。

映画

2009年には、東京芸術大学の映像研究科生によって映画化されました。堺雅人、寺島しのぶ、柄本佑など、実力派俳優が出演しています。

キャスト

黒澤：堺雅人
京子：寺島しのぶ
河原崎：柄本佑
豊田：板尾創路
戸田：団時朗
高橋：塩谷瞬
青山：深水元基
佐々岡：永井努
青山の妻：佐藤江梨子

スタッフ

監督：真利子哲也、遠山智子、野原位、西野真伊
原作：伊坂幸太郎
脚本：黒田泰子、大川 慶、澤井香織、福岡恵里
* 音楽：origami PRODUCTIONS

まとめ

『ラッシュライフ』は、伊坂幸太郎ならではの緻密な構成と、予測不可能なストーリー展開が魅力の作品です。それぞれのキャラクターが抱える悩みや葛藤が、物語全体を深く豊かなものにしています。小説だけでなく、映画も合わせて楽しむことで、『ラッシュライフ』の世界をより深く堪能できるでしょう。

もう一度検索