ラッタパーラ経

ラッタパーラ経について

『ラッタパーラ経』は、パーリ仏典の中部経蔵に収められている第82経です。この経典は、阿羅漢ラッタパーラの出家の道程やその後の経験について詳しく述べています。また、同様の内容を含む漢訳経典としては、『中阿含経』の「頼吒惒羅経」が存在します。

登場人物

この経典には、以下の主要な人物が登場します。

• - 釈迦: 仏教の創始者であり、ラッタパーラを導く存在。
• - ラッタパーラ: 良家の婆羅門の子であり、後に釈迦のもとで出家し、阿羅漢となる。
• - ラッタパーラの父: 出家に反対する父親。
• - コーラヴィヤ王: クル国の王で、ラッタパーラと対話を交わす。

背景と場面設定

物語は、釈迦が比丘たちとともにクル国を行脚している際に始まります。そこで、トゥッラコッティタの婆羅門たちが釈迦の教えを聞くために集まり、その中にはラッタパーラも含まれていました。ラッタパーラは釈迦の教えに深く感銘を受け、自ら出家することを決意します。しかし、そのためにはまず両親からの同意が必要とされました。

ラッタパーラの両親は、特に父親は彼の出家の希望に強く反対しましたが、最終的には息子の意志を尊重し、承諾しました。こうしてラッタパーラは出家を果たし、具足戒を得ます。その後、彼は修行を積み重ね、ついには阿羅漢に達しました。

家族との再会

ラッタパーラは、舎衛城に滞在中の釈迦を訪れ、両親に会いたいと願います。釈迦は彼の希望を受け入れ、ラッタパーラは父親の元へ緒行に出発します。しかし、父親は息子と気づかず、比丘たちに対して持つ憎しみから罵倒してしまいます。最終的にラッタパーラは正体を明かし、父から食事に招かれますが、家族全員から出家を取りやめて戻るよう説得されるも、その意志は揺るぎませんでした。

彼は詩を詠んで家族と別れ、自身の信念を貫き通す決意を固めていきます。

クル王との対話

その後、ラッタパーラはミガーシーラ園に足を運び、そこでクル国王コーラヴィヤ王と出会いました。王はラッタパーラに対して出家の動機を尋ねます。ラッタパーラは、釈迦が教えた四法印が彼の出家を導いた理由であると告げます。この教えに感動した王は、その後も深い対話を続け、ラッタパーラの修行を称賛しました。

結論

『ラッタパーラ経』は、個人の成長や家族との関係、また出家に至る思索の重要性を描写した作品です。ラッタパーラの堅い意志と釈迦の教えは、仏教徒にとって重要なメッセージを伝えています。

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