ラナシンハ・プレマダーサ

ラナシンハ・プレマダーサ：スリランカの政治家

ラナシンハ・プレマダーサ（1924年6月23日 - 1993年5月1日）は、スリランカの政治家であり、第3代大統領（1989年 - 1993年）を務めました。統一人民戦線（SJB）党首のサジット・プレマダーサは彼の息子です。

生い立ち

1924年、プレマダーサはコロンボで生まれました。父親は実業家であり、リキシャを利用した旅客業を営んでいました。彼は仏教寺院で初等教育を受け、その後セント・ジョセフ・カレッジ・コロンボに進学しました。15歳の時にスチャリタ児童組合を創設し、これは後に経済発展を目的としたボランティア団体であるスチャリタ運動へと発展しました。この運動は、コロンボに住む貧しい人々の社会的・精神的活動を支援しました。

政治家としての経歴

セイロン労働党時代

1946年、プレマダーサはセイロン労働運動の創設者であるA・エカナヤカ・グナシンハとともにセイロン労働党に入党し、政治の世界へ足を踏み入れました。1950年にはコロンボ市議会議員選挙に当選し、政治家としてのキャリアをスタートさせました。

統一国民党への鞍替え

1950年代半ば、セイロン労働党の限界を感じたプレマダーサは統一国民党（UNP）に入党しました。彼はコロンボ市長退陣要求運動に参加し、副市長職を引き継ぎました。1956年総選挙にはUNP所属として出馬しましたが、落選しました。その後、彼はUNPの再編を担い、宗教問題委員会や仏教委員会の委員を務めました。

1960年3月、プレマダーサは総選挙でコロンボ中央区から出馬し、当選しました。しかし、その後の総選挙で落選し、翌年にはコロンボ市議会議員に当選し、1965年まで務めました。この間、彼は困窮家庭に対するプレスクールの設立や若者向けの裁縫教育センターの開設に尽力しました。

初の閣僚入り

1965年、プレマダーサは総選挙で再び当選し、国会議員となりました。彼は院内幹事長に任命され、地方政府大臣政務次官を務めました。1968年には地方政府大臣に昇格し、閣僚入りを果たしました。在任中、彼はコンクリートを利用した架橋計画の推進や地方における住宅供給スキームの開発に取り組みました。また、ラジオ・セイロンを国有化し、セイロン放送協会に組み込みました。

首相就任

1978年、J・R・ジャヤワルダナが大統領に就任し、プレマダーサを首相に任命しました。プレマダーサは貧困家庭向けの住居建設に力を注ぎ、1987年にはホームレスのための国際シェルター年にすることを提案しました。また、ジャナサヴィヤという貧困対策プログラムを実行し、農村向けの経済・文化政策を推進しました。

大統領として

1988年、プレマダーサは大統領選挙に出馬し、当選しました。彼は大統領就任後、議会を解散させ、総選挙で大勝しました。当時、スリランカは北と南で内戦を抱えており、プレマダーサはこれらの問題に対処する必要がありました。

経済政策

プレマダーサは草の根レベルの経済発展に注力し、特に貧困家庭への住宅供給を積極的に行いました。彼は貧しい地域で織物関連のスモールビジネスを推進し、工場経営者に対して低利子ローンを提供しました。

武装蜂起への対応

プレマダーサは南部での人民解放戦線（JVP）の武装蜂起を鎮圧するために行動しました。彼はランジャン・ウィジャラトネを外務・防衛大臣に任命し、コンバイン作戦を実行してJVP指導者を殺害し、1990年初めには武装蜂起を鎮圧しました。

内戦への対応

一方で、スリランカ内戦への対応はうまくいきませんでした。彼はインド平和維持軍（IPKF）の撤退を要求し、IPKFを撤退させるために秘密裏にタミル・イーラム解放のトラ（LTTE）に武器を横流ししました。結果的にIPKFは撤退し、その後5年間続く第二次イーラム戦争が始まりました。

暗殺

1993年5月1日、プレマダーサはLTTEの自爆テロの標的となり死亡しました。犯人は自転車に乗って大統領の車列に近づき、爆弾を起爆させました。この爆発で大統領や護衛の警察官が死亡し、多くの負傷者が出ました。

死後の評価

スリランカにおけるプレマダーサの評価は複雑です。貧しい人のための政治を行った非エリートとして評価される一方で、スリランカ内戦における政策では大きな批判がなされています。彼の名前は、首相在任時に建設を主導したR・プレマダーサ・スタジアムに残されています。

私生活

プレマダーサはヘマ・ウィクラマトゥンガと結婚し、息子サジットと娘ドゥランジャリをもうけました。彼はハードワーカーとして知られ、自宅で生活と執務を行っていました。

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