ラバリ郡

アメリカ合衆国モンタナ州の西部に広がるラバリ郡は、雄大な山脈に囲まれた美しいビタールート・バレーを主な領域とする地域です。東にはサファイア山脈、西にはビタールート山脈がそびえ立ち、その間に南北に伸びる肥沃なバレーが郡の中心部を形成しています。このバレーは、モンタナ州の州花としても知られるビタールートにちなんで名付けられました。2020年の国勢調査では、郡の人口は44,174人を数え、郡政府の中心である郡庁所在地はハミルトンに置かれています。ハミルトンは郡内で最も人口の多い町でもあります。

ラバリ郡全域は、北米大陸の東西を分ける大陸分水界のうち、太平洋側にあたります。この分水界は、アイダホ州とモンタナ州の州境をラバリ郡付近まで北上した後、ロストトレイル峠とチーフジョゼフ峠の間で東向きに曲がり、モンタナ州内に入り込んでビーバーヘッド郡との境界線沿いを走っています。

歴史

ラバリ郡となるこの土地には、古くからビタールート・サリッシュ族と呼ばれるネイティブ・アメリカンの人々が暮らしていました。彼らは1805年にこの地を訪れたルイス・クラーク探検隊と出会い、探検隊の記録には友好的な部族であったことが記されています。その後、カトリック教会がこの地域での布教に関心を示し、1841年には後のスティーブンスビルとなる伝道所が開設されました。しかし、1891年にはヘルゲイト条約に基づき、サリッシュ族は北方の現在のフラットヘッド・インディアン居留地への移住を余儀なくされました。

1877年には、ネズ・パース族のウォロワ・バンドを率いるジョゼフ酋長が、居留地への収容を拒んで逃亡を試み、ラバリ郡を通過しました。彼らはカナダを目指す道中、モンタナ州ハバーの南で捕らえられました。

ラバリ郡は1893年3月3日に正式に設立されました。その名称は、1845年にビタールート・バレーに到着し、地域で活動したイタリア出身のイエズス会宣教師、アントニオ・ラバリ神父にちなんで名付けられたものです。

経済

ラバリ郡の経済は、長年にわたり農業と林業を基盤として発展してきました。特に林業は、初期にはビュートの銅山経営者の一人であるマーカス・デイリーが出資した製材業が盛んであり、その木材は銅鉱山の操業に不可欠でした。近年では、豊かな自然環境を活かした観光業が新たな経済の柱として成長しています。ビタールート・バレーは、セルウェイ・ビタールート原生地に隣接しており、大陸アメリカ合衆国では珍しくなったクズリやオオカミをはじめとする多様な野生動物が生息しています。また、アイダホ州境近くのロストトレイル峠には、アメリカ国道93号線沿いにロストトレイル・パウダー山スキー場があり、冬のレクリエーションを提供しています。

地理と交通、隣接地域

アメリカ合衆国国勢調査局によると、ラバリ郡の総面積は約2,400平方マイル（約6,200平方キロメートル）です。その大部分である約2,394平方マイル（約6,200平方キロメートル）が陸地であり、水域は約6平方マイル（約16平方キロメートル）で、水域率は全体のわずか0.25％となっています。

郡内を走る主要な幹線道路には、南北を結ぶアメリカ国道93号線と、モンタナ州道38号線があります。

ラバリ郡は以下の郡と隣接しています：

ミズーラ郡（北）
グラニット郡（東）
ビーバーヘッド郡（南東）
レムヒ郡 (アイダホ州)（南）
アイダホ郡 (アイダホ州)（西）

郡内には、広大な自然を保護するための国立保護地域も存在します。これには、ビタールート国立の森（一部）、リーメトカーフ国立野生生物保護区、ロロ国立の森（一部）が含まれます。

コミュニティ

ラバリ郡内には、郡庁所在地のハミルトンをはじめ、いくつかの都市や町、国勢調査指定地域（CDP）があります。

都市:
ハミルトン

町:
ダービー
パインズデール
スティーブンスビル

国勢調査指定地域:
コーバリス
フローレンス
ビクター

著名な人物

ラバリ郡に関連する著名な人物としては、モンタナ州選出の元アメリカ合衆国上院議員であるヘンリー・L・マイアーズが挙げられます。彼は上院議員となる以前、1895年から1899年までラバリ郡の検察官を務めていました。

ラバリ郡は、その壮大な自然景観、豊かな歴史遺産、そして多様な経済活動を通じて、モンタナ州西部における独自の存在感を放っています。かつての先住民の土地から入植の歴史を経て、現代においては自然との共生や観光による活性化が進む地域です。

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