ラブ・ストーリーを君に

映画『ラブ・ストーリーを君に』

概要

『ラブ・ストーリーを君に』は、1988年に公開された日本映画で、東映東京撮影所によって製作され、オスカープロモーションが関与した作品です。原作はフランスの小説家ディディエ・ドゥコワンの小説『眠れローランス』であり、元祖国民的美少女とも称される後藤久美子の映画デビュー作としても知られています。また、この作品は文部省によって選定され、多くの観客に感動を与えました。

ストーリー

物語の中心には、白血病を患った中学2年生の少女、由美がいます。由美は新体操好きで、両親が離婚したことにより母親と二人三脚で生活をしています。しかし、彼女の明るい日常は白血病という現実によって脅かされ、余命を宣告されることになります。彼女のかつての家庭教師であり、大学の山岳部員である明（仲村トオル）は、由美の主治医や母親に頼まれ頻繁に由美の元を訪れるようになります。

由美は最初、周囲の人々の優しさに苛立ちを感じるものの、次第に明との関係が深まっていきます。彼女は生きる喜びや恋を体験しながら、時に苦しみ、また時に笑い合う場面が描かれていきます。物語は、死を認めた少女が最期の時をどう過ごすかというテーマを持ち続けます。

キャスト

この映画では、後藤久美子が主役の由美役、仲村トオルが明役を演じました。他にも、佐藤友美、柳沢慎吾、河合美智子、三田佳子といった多彩なキャストが揃い、物語を一層ドラマティックに彩りました。

制作の背景

企画は1980年から進んでおり、黒澤満プロデューサーが原作を映画化したいとの強い思いを抱いていました。しかし、脚本化を依頼した丸山昇一は最初は乗り気ではなかったものの、徐々に黒澤の情熱に影響され、実現に向けた取り組みが開始されました。このようにして、最終的に魅力的なキャスティングと共に作品が形となりました。

撮影及び演出

撮影は1987年8月に始まり、多くのロケが行われました。監督の澤井信一郎は、後藤久美子の素顔を引き出すことに力を注ぎ、感情豊かな演技を引き出すためにさまざまな工夫を凝らしました。後藤は毎日のリハーサルを重ね、役作りに励む姿勢が印象的でした。

音楽

主題歌には財津和夫による「ラブ・ストーリーを君に」が起用され、映画の世界観を一層引き立てる存在になっています。また、劇中では岸洋子が歌うシーンもあり、映画全体に感動を与えました。

興行と評価

本作は興行的には予想通りの成功には至りませんでしたが、評論家や観客からの感動的で温かい評価を受けることで、特に後藤久美子にとっては名実ともに女優としての第一歩となる作品でした。特に「純愛」というテーマは評価され、文部省選定を受けることにもつながったのです。

結論

『ラブ・ストーリーを君に』は、ただの恋愛映画ではなく、愛や命、そして別れの深い意味を考えさせられる作品です。当時若き日の後藤久美子が織り成す等身大の演技は、今もなお多くの観客の心に残り続けています。

もう一度検索