ラマダン作戦

ラマダン作戦の概要

ラマダン作戦とは、1982年のイラン・イラク戦争中にイラン軍が発動した逆侵攻作戦であり、主にフーゼスターン州の奪還を目的としていました。この作戦は、イランによる本格的な攻勢を示すものであり、戦局を大きく変える可能性がありました。

背景

1982年6月、イラクのフセイン大統領は、イラク軍をイランから完全に撤退させる計画を発表しました。撤退の進展状況についてはイラク国営放送で発表されたものの、実際には撤退が完全ではないことが明らかになり、イラン側は警戒を強めていました。イランのラフサンジャーニー議長はこの動きに対し、イラクの申し出を受け入れず、他の条件も必要であると改めて強調しました。

ホメイニー指導者も、賠償金を取り戻すためには力が必要であるとの発言をし、これが作戦発動の一因となりました。7月7日、フーゼスターン州に進攻する計画が述べられると同時に、イラン政府は国際的な場でも意見を表明し、ユニーク案件を進めました。

戦闘の開始

1982年7月13日、イラン軍はバスラに対して砲撃を開始し、正式に攻撃が始まりました。翌日には、革命防衛隊やバスィージが前進しましたが、最初の進攻は予想外の困難に直面しました。

イラク側も即座に国境を守るための体制を整えており、特にシャッタルアラブ川沿いでの防御は堅固でした。イラク軍は、イランの逆襲に備え、複数の水壕を構築し、堤防には鉄条網が張り巡らされていました。

失敗とその原因

イラン軍は攻撃に出ましたが、頑強なイラク軍の防御に阻まれ、次々と攻撃が失敗に終わりました。特に、イラクの掩蔽壕による防御と戦車や火砲をも駆使した集中射撃が、イランの攻撃を大きく弱体化させました。

7月15日夜、イラン軍は突撃を開始しましたが、指揮系統が不明確に陥る中で、夜明け前、イラク軍による反撃が効果的に行われました。これにより、イラン軍は混乱し、戦局は急速に不利へと進展しました。

その後、イラン軍は連続して新たな攻撃を試みましたが、ことごとく失敗。最終的に、27,000人以上の戦死者を出し、300輌以上の戦車を喪失する結果に至りました。8月に入ると、累次の失敗をもって作戦目標の達成を自認し、実質的に敗北を認めざるを得ない状況が続きました。

作戦のその後

ラマダン作戦はイランにとって大きな損失をもたらしました。戦死者や戦車の損失により、今後の戦闘能力が著しく低下することとなりました。以降は、革命防衛隊による波状攻撃が中心となり、職業軍人の動員が困難とされる時代に突入します。

イラク側は戦場での状況が好転しましたが、狂信的波状攻撃に対する恐怖心が徐々に広まっていきました。また、この戦いにおいて化学兵器が使用され、国際社会からも非難を浴びる事態となります。戦争は泥沼化し、双方による停戦の呼びかけも効果が薄く、戦闘は長引くことになります。

参考文献

• - 鳥井順『イランイラク戦争』（第三書館）
• - 松井茂『イラン-イラク戦争』（サンデーアート社）
• - ケネス・ポラック『ザ・パージアン・パズル 上巻』（小学館）

このように、ラマダン作戦は単なる戦闘行動ではなく、その後のイラン・イラク戦争全体に大きな影響を与える重要な転機となったのです。

もう一度検索