ラミーカミキリ

ラミーカミキリ（Ramie髪切）

ラミーカミキリは、学名を Paraglenea fortunei とするコウチュウ目の一種で、カミキリムシ科に分類されています。初夏の頃に、特にカラムシなどの植物に集まることが特徴的です。このカミキリムシは、日本では主に東海地方で観察され、食草のひとつであるラミーという植物にちなんで名付けられました。

形態

成虫の体長はおおよそ 10-20 mm であり、小型ですが非常にカラフルです。体の色は鮮やかな黒と緑白色に分かれており、緑白色の部分は個体や採取された状態によって青白色や黄白色に見えることもあります。背中側から見ると、前胸の背中部は緑白色で、二つの円形の黒点があり、これがまるでジャイアントパンダの顔のように見えます。前翅は黒色ですが、その後半には緑白色の太い横帯模様があります。また、前翅の付け根には小さな白い斑点もあり、これには個体差があります。触角は体長にほぼ匹敵するものです。

生態

ラミーカミキリの成虫は主に5月から8月の間に出現し、食草としてイラクサ科のカラムシやヤブマオ、アオイ科のムクゲなどを利用します。日中に活動し、食草の茎や葉をかじるなどして食事を摂ります。身軽なため、捕らえられると擬死状態になって地面に落ちたり、素早く飛び去ったりして逃げることが特徴です。

幼虫は食草の茎に入り込み、内部の髄を食べて成長していきます。やがて成長した幼虫は地下茎にまで食い込むようになり、秋から冬にかけて食草を切ると、30-40 mmほどの細長い白い幼虫が現れることがあります。

分布

ラミーカミキリはインドシナ半島の北部から中国、台湾、日本にかけて分布しています。ただし、日本におけるラミーカミキリは、幕末から明治時代にかけて侵入した外来種であると考えられています。具体的には、関東地方以西、特に九州では公園や道端のカラムシの葉の上に普通に見られます。20世紀末には東京都の多摩地区でも確認されるようになり、21世紀初頭の八王子市ではほぼ全域に生息が定着している状況です。これは、冬季の平均気温が 4℃ のライン以南の地域と一致しており、温暖化に伴いその分布が北上する傾向があるとされています。

日本での最初の記録は、1873年に英国人昆虫学者 H. W. ベイツが行ったもので、これは1864年から1872年までの間に、茶葉貿易のために日本に滞在していた生物学者 G. ルイスが長崎で採集した個体に由来しています。これらは繊維を得るために導入されたラミーと共に日本に移入されたと考えられているのです。

このようにラミーカミキリは、独特の形態と生態を持つ魅力的なカミキリムシで、日本の生態系に新たな風を吹き込む存在となっています。

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