ラリー・ジークフリード

ラリー・ジークフリード：セルティックス王朝を支えた名脇役

ラリー・ジークフリード（Larry Siegfried, 1939年5月22日 - 2010年10月14日）は、アメリカ合衆国出身の元プロバスケットボール選手です。オハイオ州シェルビーで生まれ、1960年代にボストン・セルティックスの一員として、5回のNBA優勝に貢献しました。彼の正確なフリースローと粘り強いディフェンスは、セルティックスの黄金時代を支える重要な要素でした。

学生時代：才能の開花

シェルビー郊外の農場で育ったジークフリードは、幼い頃からバスケットボールに熱中しました。自宅の納屋に設置されたバスケットで、来る日も来る日もシュート練習に明け暮れたと言います。シェルビー高校に進学すると、その才能は一気に開花。1957年のシーズンには平均38得点を記録し、チームを州チャンピオンシップに導きました。この活躍が認められ、オハイオ州の年間最優秀選手に選出されました。

大学はオハイオ州立大学に進学。ここでは、後にバスケットボール殿堂入りを果たすジェリー・ルーカスやジョン・ハブリチェックといった名選手たちとチームメイトになります。1959-60シーズンの先発メンバーは、ジョー・ロバーツ、ジークフリード、ルーカス、ハブリチェック、メル・ノーウェルという豪華な顔ぶれで、全員が後にNBA選手となりました。さらに、ベンチには後に名コーチとなるボビー・ナイトも控えていました。この強力なチームはNCAAトーナメントを勝ち抜き、見事優勝を果たします。ジークフリードは1960-61シーズンにキャプテンとしてチームを率い、シーズン無敗でNCAAトーナメントに臨みましたが、決勝でシンシナティ大学に惜敗し、連覇はなりませんでした。しかし、カンファレンスのオールチーム、オールアメリカ3rdチーム、NCAA Final Fourトーナメントチームに選ばれるなど、個人としても高い評価を得ました。

NBAキャリア：王朝の一員として

大学卒業後、ジークフリードは1961年のNBAドラフトでシンシナティ・ロイヤルズから3位指名を受けますが、NCAAトーナメントで連覇を阻まれたシンシナティの街に行くことを拒否。1961-62シーズンはABL（アメリカン・バスケットボール・リーグ）のクリーブランド・パイパーズでプレイしました。この行動により、シンシナティでは「公共の敵No.1」と見なされ、最後までロイヤルズのユニフォームに袖を通すことはありませんでした。パイパーズではビル・シャーマン監督の下、ディック・バーネットと共にリーグ優勝を経験しています。その後、ロイヤルズはジークフリードの交渉権をセントルイス・ホークスにトレードしますが、ホークスもまた権利を放棄。行き場を失ったジークフリードは一時引退し、高校のコーチを務めることになります。しかし、大学時代のチームメイトであるジョン・ハブリチェックの紹介により、ボストン・セルティックスのレッド・アワーバック・ヘッドコーチに才能を見出され、NBA入りの道が開かれました。

当時、セルティックスはすでに5連覇を達成し、リーグを席巻していました。サム・ジョーンズとK.C.ジョーンズという優れたバックコート陣を擁していたため、ジークフリードが割って入る余地はないかと思われましたが、アワーバックはベンチ層の強化を考えており、ハブリチェックが推薦するジークフリードに興味を示し、1000ドルの契約でチームに迎え入れました。こうしてジークフリードは、ボストン王朝の一員となったのです。

1963-64シーズンは31試合に出場し、平均3.3得点という成績でしたが、セルティックスはこのシーズンもNBAファイナルを制し、ジークフリードはルーキーイヤーから優勝を経験します。2年目の1964-65シーズンには、徐々にチームに馴染み、存在感を増していきます。3年目の1965-66シーズンにはローテーションに定着し、平均13.7得点を記録。フリースロー成功率は88.1%でリーグ1位に輝きました。この間、セルティックスは連覇記録を8まで伸ばし、王朝を築き上げましたが、ジークフリードはジョーンズ兄弟のバックアップとして、また強力なディフェンスの一員として、優勝に大きく貢献しました。特に、相手に「彼のTシャツを着ているようだ」と錯覚させるほど粘り強いディフェンスは、高く評価されました。

1965-66シーズン終了後、セルティックスは変革期を迎えます。レッド・アワーバックがコーチを辞任し、ビル・ラッセルが選手兼任で後任に就任。1966-67シーズンは60勝21敗という好成績を残しましたが、プレーオフでフィラデルフィア・76ersに敗れ、連覇記録は途絶えました。このシーズンを最後にK.C.ジョーンズが現役を引退。これにより、ジークフリードのチーム内での価値はさらに高まりました。1967-68シーズンには、チームトップとなる平均4.7アシストを記録し、セルティックスは見事王座に返り咲きます。翌1968-69シーズンには、キャリアハイとなる14.2得点、4.7アシストを記録し、2度目のフリースロー成功率1位（86.4%）を獲得。セルティックスはこの年のファイナルも制し、優勝回数を11回に伸ばし、ジークフリードも5つ目のチャンピオンリングを手に入れました。

しかし、この年ビル・ラッセルとサム・ジョーンズが引退し、ボストン王朝は終焉を迎えます。セルティックスは世代交代を進めるため、1970年のエクスパンション・ドラフトでジークフリードをプロテクトせず、サンディエゴ・ロケッツへの移籍が決まりました。30代に入り、徐々に衰え始めたジークフリードは、ラストシーズンをロケッツから移籍したアトランタ・ホークスで過ごし、現役を引退。NBA通算成績は9シーズン550試合に出場、5,960得点、1,950アシスト、平均10.8得点、3.5アシスト、フリースロー成功率85.4%でした。

引退後

2010年10月14日、心臓発作のため死去。71歳でした。

主な業績

NCAAトーナメント優勝：1960年
NBAファイナル制覇：1964年－1966年, 1968年, 1969年
* フリースロー成功率1位：1966年, 1969年

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