ランセット (航空機)

ZALAランセット（ZALA Lancet）

ZALAランセットは、ロシアのザラエアログループが開発した無人攻撃機で、正式にはItem 52/Item 51と呼ばれています。2019年6月にモスクワで開催されたARMY-2019軍事博覧会でその姿が初めて公開され注目を浴びました。この機体は、既存の無人攻撃機であるZALA KYBを元にさらなる改良が加えられたものです。特に西側や中東のメディアでは、「神風ドローン」としても知られていますが、その名は日本の特徴的な兵器に由来しています。

開発の背景

ZALAランセットの開発には、以前に開発された徘徊型兵器「KUB-E」が影響を与えていると言われています。KUB-Eはランセットとは異なるデザインで、一部の利用者から技術の進化を求められたことが、ランセットの開発に繋がった可能性が高いです。ランセットは円筒形の胴体に2対のX字型の翼を備え、推進式のプロペラを搭載しています。この設計が、偵察と攻撃の両方の任務において高い機動性を発揮する要因の一つです。

性能と機能

ランセットは、最大航続距離が40キロメートル、最大離陸重量（MTOW）は12キログラムで、高性能爆薬やフラグメンテーション弾頭を搭載することが可能です。さらに、優れた光電子ガイダンス技術やテレビガイダンスユニットを装備しており、攻撃の最終段階においても精度の高いミサイル制御が実現されています。ザラエアロのデザイン責任者であるアレクサンダー・ザハロフ氏によれば、ランセットは「エアマイニング」や「航空爆雷」の用途にも適しています。さらに、地上または海上からカタパルトを利用して発射できることも特筆すべき点です。

実戦運用

シリア内戦において、2020年11月からロシア軍によって実戦試験が何度か行われたことがあります。特に2021年4月には、イドリブ県で特定のターゲットへの攻撃が成功しました。2022年のウクライナ侵攻では、ランセットがKUBドローンと共に展開され、ウクライナの重要な軍事目標への攻撃を行っています。

複数の映像がインターネットに公開され、その中には防空システムや自走榴弾砲、戦車などが含まれています。例えば、ウクライナのS-300やM777などの兵器が攻撃され、一定の被害を受けています。また、実際の戦闘では、敵のT-84戦車や英国製ストーマーHVKも標的となり、成功を収めています。

対策と効果

ウクライナ軍は、ランセットに対抗するために砲周りに特別な防護策を講じています。金網フェンスや木材を用いた防御の他、囮として膨張式のダミーや木製の車両を使用し、ランセットの攻撃を回避しようとしているのです。ウクライナでは逆に、ドニプロ川での巡視船の沈没やIRIS-T SLM防空システムの破壊が報告されています。特に2023年にはランセットの効果的な運用が続いており、その生産能力も向上しています。

バリエーション

ランセットには異なる仕様が存在します。ランセット-3は、より大きなモデルで飛行時間は40分、積載量は最大3kgです。一方、ランセット-1はそれを小型化したバージョンで、飛行時間は30分、最大積載量は1kgとなっています。最新のアップグレードでは、弾頭の強化や新しい誘導システムが搭載されています。

今後もランセットは、戦場においてその高い攻撃力を発揮しつづけると見込まれています。2024年には、この無人攻撃機がさらなる進化を遂げることが期待されています。

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