ランボルギーニ・ハラマ

ランボルギーニ・ハラマ

ハラマ（Jarama）は、1970年から1976年にかけてイタリアの名門自動車メーカー、ランボルギーニによって生産されたグランツーリスモ車です。その名は、スペイン・マドリード近郊にあるハラマ・サーキットから由来しています。

デザインと設計の背景

ハラマの初期設計は、ランボルギーニ・ミウラに続くジャンパオロ・ダラーラによって行われました。当初の計画では、年間1,000台の生産を見込んで、V型12気筒エンジンを搭載する予定でした。しかし、1968年にダラーラが退職し、その後の設計はパオロ・スタンツァーニに引き継がれました。スタンツァーニは、ハラマをイスレロに代わる2+2グランツーリスモへと位置づけを変更し、V型12気筒エンジンの採用を決定しました。

ボディは鍛造鋼板によるセミモノコック構造で、2+2の座席配置ながら充分な室内空間が確保されています。全体のデザインは、ベルトーネに所属するデザイナー、マルチェロ・ガンディーニによって手掛けられており、1970年3月にはジュネーヴ・ショーで初めて公に披露されました。

特徴と性能

ハラマは、そのデザインやスペックから、ミウラやカウンタックと比較して地味に見えるかもしれません。しかし、実用的な2+2のレイアウトを活かし、優れた操縦性を誇ります。競合車であるフェラーリ・365GTB/4|フェラーリ・365GTB_4と比べてホイールベースが短いため、運転のしやすさに寄与しています。サーキットでのパフォーマンスでは、時折ミウラを上回るタイムを記録することもあったといいます。

エンジンの冷却性能にも改善が図られ、静かで快適な走行が可能になっています。エアコンの効きも良く、壊れにくさや操作性の良さから、実用性を兼ね備えたスポーツカーとして多くのファンに親しまれました。ランボルギーニテストドライバーを務めたボブ・ウォレスは、「私のお気に入りの車だ。本物のランボルギーニだ」とその魅力を語っています。

モデル年表

GT（1970年～1972年）

最初のモデルで、4,000cc近い排気量と350馬力を誇りましたが、冷却システムに関しては改善の余地があったと言われています。このモデルは176台が生産されました。

GTS（1972年～1976年）

別名、ハラマS。エンジンの圧縮比を高めることで365馬力へとパワーアップを果たし、冷却システムも強化されました。また、サイドフェンダーにエアアウトレットを追加し、エアコンやクライスラー製の3速ATも選択可能となりました。生産台数は152台とされています。

レース用車両（ハラマRS）

ハラマGTSをベースとして開発されたレース仕様のモデルです。1973年には、ボディの軽量化やエンジン、足回りのチューニングが施され、より高いパフォーマンスが期待されました。重心を保つためにエンジンを中央寄りに配置し、軽量化に向けた工夫が随所に見られました。

そのため、ハラマは単なる市販車に留まらず、運転の楽しさと高い性能を両立させた貴重なスポーツカーです。これまで数々の賞賛を集めてきたこのモデルは、今もなお自動車ファンの間で語り継がれています。

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