ラヴィ・イリュストレ

『ラヴィ・イリュストレ』（仏：La Vie illustrée）は、1898年から1911年にかけてフランスの首都パリで発行された週刊のニュース雑誌です。当時の出来事を伝える手段として多数の写真を活用することに重点を置いていましたが、その報道姿勢は時に激しい倫理的な議論を呼び起こしました。

歴史

本誌は、ユーモア雑誌『ル・リール』の編集長を務めていたフェリックス・ジュヴァンによって創刊されました。創刊当初、この雑誌は毎週木曜日に発行され、全32ページの誌面の約7割を写真版画が占めるという、極めて視覚的な構成が特徴でした。価格は当初30サンチームでしたが、その後変動し、最高で50サンチームに達した後、最終的に40サンチームに落ち着きました。誌面では主にフランス国内および国際的なニュースが扱われ、最初の2年間は最終ページに写真入りの連載小説も掲載されていました。広告を含めた平均ページ数は20ページでしたが、クリスマスなどの特別なイベント時には48ページに増量されることもありました。

『ラヴィ・イリュストレ』は、経営上の動きも見られました。1900年から1902年にかけては、出版大手カルマン・レヴィが所有する雑誌社ユニヴェール・イリュストレと合併しています。また、1910年には、創刊者ジュヴァンのビジネスパートナーであったアンリ・ド・ヴァンデルが、ジュヴァンの競合相手であるピエール・ラフィットが創刊した雑誌『エクセルシオール』に参加しました。これと並行して、ヴァンデルはジュヴァンから離れ、ジャン・デュフィと協力して1910年から1912年に写真雑誌『ル・ミロワール』を立ち上げています。この過程で、『ラヴィ・イリュストレ』はジュヴァンの手を離れ、一度はユニヴェール・イリュストレと合併し（1902年に再独立）、その後、フレデリック・ポンシニョンの手に渡り、1912年にその歴史に幕を下ろしました。

評価と論争

写真やイラストを多用する新聞・雑誌の歴史を研究するティエリー・ジェルヴェは、『ラヴィ・オ・グラン・エール』といった他のスポーツ週刊誌と共に、『ラヴィ・イリュストレ』が「雑誌と新聞、イラストによる複雑なモデル」を提供しており、「意味とスペクタクルを同時に生み出すことを目的としたレイアウト」がなされていたと評価しています。

一方で、『ラヴィ・イリュストレ』はそのセンセーショナルな報道姿勢が大きな論争を呼びました。誌面に衝撃的な写真が増えるにつれて、それが商業的な目的のために利用されているのではないかという批判的な議論が巻き起こったのです。特に、戦争や暴力的な出来事を扱う際にその傾向が顕著でした。

例えば、1904年7月8日号では、日露戦争に関する報道写真として、満洲での斬首場面をカラー写真で表紙に掲載しました。また、その前年の1903年2月27日には、内部マケドニア革命組織に対するトルコ人による斬首場面のポスターキャンペーンを、「レンズの前でのトルコの残虐行為」と題して報道しています。センセーショナリズムは、1906年5月18日号の「無政府主義者の間で爆弾を製造」と題された一面記事で最高潮に達したとされています。

さらに、『ラヴィ・イリュストレ』は報道倫理に反する行為として、写真の不正使用や加工も行いました。その顕著な例が、1907年8月9日号の第一面に掲載された写真です。この写真は「カサブランカの虐殺では、モロッコの狂信者のグループがヨーロッパ人を撃つために港の近くで待ち伏せしました。」というキャプションが付けられていましたが、実際には全く異なる文脈で撮影されたものでした。この写真は、1906年8月末にフランスのトゥールコワンを訪れたモロッコの劇団の公演の際に、ロル・エージェンシーによって撮影された写真を加工し、誤ったキャプションを付け直したものでした。元々は、同じ年に雑誌『アルム・エ・スポル』に掲載された「トゥールコワンのモロッコの村」という記事に使われた8枚の写真のうちの5枚を基にしたものであり、実際の「カサブランカの虐殺」とは何の関係もない写真を報道写真として使用した事例として、その倫理性が問題視されました。

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