ユニヴェール・イリュストレ

「ユニヴェール・イリュストレ」（仏：L'Univers illustré）は、1858年5月22日にフランスのパリで産声を上げたイラスト付きの週刊ニュース雑誌です。発行元は著名な出版社であるミシェル・レヴィでした。

創刊と初期の状況

創刊当初、本誌は29cm×41cmの判型で8ページ構成、価格は15サンチームでした。これは同時代の競合誌、「イリュストラシオン」や「ル・モンド・イリュストレ」といった他のイラスト入り週刊誌と似た形式を採用していました。創刊号の巻頭言は、作家テオフィル・ゴーティエが執筆し、誌面の方向性を示しました。

しかしながら、当初はイラスト制作において課題を抱えていました。編集部はオリジナルのイラストを外部に委託する意向はありましたが、実際に掲載されるイラストの多くは「イラストレイテド・ロンドン・ニュース」や「イルストリールテ・ツァイトゥング」のような外国の定期刊行物から転載されたものでした。1859年には価格が20サンチームに値上げされたものの、競合誌と比較すれば手頃な価格設定は維持されました。ミシェル・レヴィは独自性を出すため、ナポレオン3世の公的な活動や、当時のパリの夜の情景といったテーマのオリジナルイラストを積極的に外注しました。これに対し、競合誌「ル・モンド・イリュストレ」は1860年頃まで、ユニヴェール・イリュストレが他誌からイラストを不正に入手していると非難を続けていました。また、カトリック系の日刊紙に同名の「ユニヴェール」が存在しましたが、そちらは数年間姿を消しており、両誌に関係はありませんでした。

ミシェル・レヴィは出版事業として、1作品1フランで販売される大衆小説シリーズ「ロマン・ポピュレール」も手掛けており、人気作家が提供する情報は、連載や挿入文として雑誌に掲載され、広告媒体としても機能しました。1862年には、「ル・モンド・イリュストレ」の株式を取得し、すぐに売却するという動きも見せています。普仏戦争による一時的な中断を挟んだ後も、「ル・モンド・イリュストレ」は刊行を続け、その価格は20年間で20サンチームから40サンチームへと上昇していきました。

1880年代の終わり頃になると、フランスの主要な日刊新聞が週末に5サンチームという低価格のイラスト入り週刊紙を発行し始め、新たなイラストや写真技術を導入する中で、「ユニヴェール・イリュストレ」は競合に苦慮するようになります。

所有者の変遷と終刊

発行部数がまだ15,000部と比較的高かった1898年、ミシェル・レヴィの息子であるカルマン・レヴィは、「ユニヴェール・イリュストレ」をフェリックス・ジュヴァンが率いる出版グループ「ソシエテ・デェディシオン・エ・ドゥ・ピュブリカシオン」に売却しました。この買収に伴い、本誌は1900年から1902年にかけて、ジュヴァンが発行していた「ラヴィ・イリュストレ」と合併されました。しかし、1902年10月には再び「ユニヴェール・イリュストレ」として独立して刊行が再開されます。当時の編集長フレデリック・ポンシニョンは、1910年7月に新たな雑誌シリーズを立ち上げ、その影響もあってか、「ユニヴェール・イリュストレ」は1912年にその歴史に幕を下ろしました。

内容構成（1862年頃の例）

1862年頃の誌面構成は、広告がミシェル・レヴィの出版物に関するもの以外は掲載されていないという特徴を持ちつつ、以下のような多様な内容で構成されていました。

1ページ目: 半ページ分のイラストに加え、アルベリク・スゴンによるクロニクル記事、時事的なトピック、ユーモア記事、読者や評論家からの投書への返信などが掲載されました。
2ページ目: 1ページ目のクロニクルの続きが掲載されました。
3ページ目: その週のナポレオン3世の動向が報じられ、その後、一つまたは二つの異なるテーマの記事、そして10の数字で始まる文学シリーズが掲載されました。
4ページ目と5ページ目: 誌面で取り上げられたトピックを視覚的に解説するイラストが2、3点掲載されました。時には2ページ分を丸々使った大判のイラストが掲載されることもあり、特に1ページ分を全面イラストが占めることもありました。
6ページ目: 連載小説が掲載される定番のページでした。
7ページ目: 上記以外の二つまたは三つのトピック記事が掲載されました。
* 8ページ目: 7ページ目のトピックの続きが掲載されました。ここにも半ページ分のイラストが配され、ページの下部には判じ物のような図版や文字が掲載され、読者の興味を引きました。

このように「ユニヴェール・イリュストレ」は、ニュース報道、文学作品、そして豊かなイラストレーションを通じて、当時のフランス社会の様々な側面を読者に届けた週刊誌でした。

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