ラ・コロナ

ラ・コロナ（La Corona）

ラ・コロナはグアテマラのペテン県の北西部に位置する古代マヤの遺跡であり、1997年にその存在が初めて明らかにされました。この遺跡は規模が小さいものの、貴重な遺物が数多く残されており、マヤ文明の研究において重要な位置を占めています。

再発見と「Q遺跡」

1960年代には、各地の美術館で同様の特徴を持つマヤの遺物が発見されるようになりましたが、それらは明らかに略奪によって市場に出されたものでした。1970年代には、考古学者ピーター・マシューズがこれらの遺物の源を調査し、仮に「Q遺跡」と名付けました。彼の研究は長らく未公刊だったものの、マヤ研究者の間では広く知られ、どの遺跡であるかは謎のままでした。

その後、マヤ文字の解読が進むにつれ、Q遺跡の碑文に刻まれた人名が既知の遺跡のものとは異なっていることが明らかになり、さらなる謎を呼びました。1997年5月、考古学者イアン・グレアムとデイヴィッド・ステュアートらがチョコプ川上流で新たな遺跡を発見し、Q遺跡と同じ支配者の名が刻まれた石碑を見つけました。

この遺跡の小ピラミッドの配置が冠の形をしていたため、ステュアートによって「ラ・コロナ」と名付けられることとなりました。この名称はスペイン語で「冠」を意味します。ラ・コロナでは、地名や支配者名、さらには支配者層の称号がQ遺跡と一致しており、これがQ遺跡との関連を示す根拠となりました。しかし、小規模な遺跡がこれほどの立派な遺物を持っていることが疑問視されることもありました。

ラ・コロナの重要性

2005年、アメリカとグアテマラの共同調査によって、テュレーン大学のマルセロ・カヌートがラ・コロナの盗掘跡を調査し、Q遺跡と一致する石板を発見しました。この発見により、ラ・コロナが確実にQ遺跡であることが立証されました。

ラ・コロナは小規模ながらも、彫刻された石板や碑文を刻んだ階段を有しています。これにはカラクムルとの婚姻関係に基づく同盟や、球戯に関する記載、さらには蛇王国の王の訪問の記録が含まれています。カヌートによれば、この遺跡は南北の交易路の要所でもあり、蛟王国がラ・コロナを影響下に置こうとしたことが示されています。

歴史的背景

ラ・コロナの王朝は314年に設立され、520年には蛇王国との初の婚姻関係が形成されました。543年には日付のある祭壇が発見され、その中には王と守護神が描かれています。これによって、ラ・コロナが蛇王国とツィバンチェ及びエル・ペルーとどのように関係を持っていたかがわかります。550年代にはティカルとの力関係の変化があり、625年にはサク・マースが即位してから碑文の刻印が盛んになりました。

しかし、695年にはティカルがカラクムルを攻略し、8世紀にはラ・コロナも廃棄されました。この遺跡の歴史は、当時のマヤ社会の変遷を理解する手助けとなる貴重な資料を今に伝えています。

外部リンク

• - La Corona Notes, mesoweb (ラ・コロナに関する研究報告集)
• - La Corona Archaeological Project (テュレーン大学の研究)

もう一度検索