ラ・ボス・デ・ガリシア

ラ・ボス・デ・ガリシア：ガリシアの声

『ラ・ボス・デ・ガリシア』（La Voz de Galicia）は、スペイン北西部ガリシア州で発行されている日刊紙です。その名前は「ガリシアの声」を意味し、地域社会の代弁者としての役割を担っています。1882年にフアン・フェルナンデス・ラトーレによってア・コルーニャで創刊されて以来、ガリシア州を代表する日刊紙として、その地位を確立してきました。現在では、ガリシア州内では最も発行部数が多く、スペイン全体でも8番目の発行部数を誇る有力紙となっています。

歴史

創刊当初の紙面は、共和主義、進歩主義、開放的な視点を持っていました。1930年代のスペイン第二共和政期には、発行部数は20,000部以上に達しました。その後、1950年代から1960年代にかけて、フェロル、サンティアゴ・デ・コンポステーラ、カルバージョに支局を開設し、発行部数を拡大。1978年にはガリシア地方の7都市に編集局を置くまでに成長しました。1990年代には、ガリシア州出身者の多いマドリードにも支局を開設し、1992年にはア・コルーニャに本社ビルを建設しました。

特徴

現在、ラ・ボス・デ・ガリシアは、26の支局から14の異なる版を発行しています。紙面は主にスペイン語で構成されていますが、文化やオピニオン面ではガリシア語も使用され、その比率は約5%です。また、ガリシア文学の日（5月17日）を記念して、2000年にはウェブサイトを開設しました。現在では、月間2500万ページビュー、250万ユニークユーザーを有する大規模なサイトとなっています。デジタル版では、スペイン語版に加え、機械翻訳によるガリシア語版も提供しています。

しかし、ガリシア州に拠点を置く多くの新聞と同様に、ラ・ボス・デ・ガリシアもガリシア州政府からの助成金に依存しており、その編集上の独立性には課題も指摘されています。特に、2009年のガリシア州議会選挙後には、中道右派のガリシア国民党に有利な報道をしたとして、対抗紙から批判を浴びました。これは、政府からの助成金が報道に影響を与えている可能性を示唆するものであり、メディアの独立性に対する議論を呼んでいます。

寄稿者

創刊初期には、知識人のマヌエル・ムルギアやエミリア・パルド・バサンなどが論評を寄せていました。その後も、サンティアゴ・カサレス・キロガ、アンドレス・マルティネス・サラサール、マヌエル・アスナール、ラモン・オテーロ・ペドライオなど、多くの著名人が記事を執筆しました。スペイン第二共和政期は本紙の黄金期とされ、ジュゼップ・プラ、フリオ・カンバ、グレゴリオ・マラニョン、アソリン、ラモン・ペレス・デ・アジャラなどの著名なコラムニストが名を連ねました。1950年代には、アルバロ・クンケイロ、アウグスト・アッシア、ウォルター・リップマンなど、小説家、詩人、劇作家、著作家、ジャーナリストが記事を寄稿しました。1970年代末には、フランシスコ・ウンブラルの文章が掲載され、民主化移行期における言論の多様性を示しました。

発行部数

1993年には107,446部、2003年には111,000部を発行していましたが、2008年には103,341部、2011年には94,844部と、近年は減少傾向にあります。これは、デジタルメディアの台頭など、様々な要因が考えられますが、ラ・ボス・デ・ガリシアは、依然としてガリシア州における重要な情報源であり続けています。

まとめ

ラ・ボス・デ・ガリシアは、100年以上の歴史を持つガリシア州の代表的な日刊紙です。創刊以来、地域社会の出来事を報道し、人々の意見を反映させてきました。紙媒体だけでなくデジタル版も展開し、多角的な視点から情報を発信し続けています。その一方で、政府からの助成金への依存という課題も抱えながら、ガリシアの声を伝え続ける役割を担っています。

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