ラーコーツィ・ジェルジ2世

ラーコーツィ・ジェルジ2世：トランシルヴァニア公、栄光と挫折の生涯

ラーコーツィ・ジェルジ2世（1621年 - 1660年）は、17世紀のトランシルヴァニア公であり、その治世は野心的な外交政策とオスマン帝国の影響に翻弄されたものでした。父ラーコーツィ・ジェルジ1世の後を継ぎ、トランシルヴァニア公として即位。当初は父の悲願であったポーランドへの影響力拡大を目指しました。

生涯

ジェルジ2世は、1642年に父の存命中にトランシルヴァニア公に選出され、1643年にはバートリ・ジョーフィアと結婚しました。ジョーフィアは結婚に際し、姑によってカルヴァン派に改宗させられています。1648年に父の死後、トランシルヴァニア公位を継承すると、ポーランドへの遠征を実現しようと試みました。

ポーランド遠征

ポーランドへの侵攻に向け、ジェルジ2世はウクライナ・コサックのヘーチマン、ボフダン・フメリニツキーや、モルダヴィア公、ワラキア公らと同盟を結びました。そして、1657年、スウェーデン王カール10世グスタフの同盟者として、4万の兵を率いてポーランドに侵攻。ポーランド王ヤン2世カジミェシュと対峙しました。当時のポーランド・リトアニア共和国は、「大洪水」と呼ばれる混乱状態にありましたが、ジェルジ2世はクラクフを占領し、スウェーデン軍と共にワルシャワに入城するなど、一時的に勢力を拡大しました。

しかし、ポーランド国内の状況が変化し、同盟者たちが撤退を始めると、ジェルジ2世の軍勢も苦境に立たされます。1657年7月、チャルヌィ・オストルフの戦いでポーランド軍に敗北し、捕虜とはならずにトランシルヴァニアへ帰還するという屈辱を味わいました。この責任を問われ、1657年11月にはトランシルヴァニア議会によって公位を廃位されています。

復位と最期

1658年、ジェルジ2世はメジェスで開かれた議会で復位を宣言し、公位に復帰を果たしました。しかし、オスマン帝国はこの動きを認めず、再び廃位を命じます。その後、1659年に三度目の復帰を果たしますが、オスマン帝国がトランシルヴァニアに侵攻。1660年5月のジャルの戦いで負傷したジェルジ2世は、同年7月7日にナジヴァーラドで死去しました。

ジェルジ2世の死後、オスマン帝国はバルチャイ・アーコシュをトランシルヴァニア公に即位させましたが、反対派はケメーニ・ヤーノシュを擁立して対抗し、オーストリアに援助を求めたため、公位継承を巡る混乱が続きました。

ラーコーツィ・ジェルジ2世の生涯は、トランシルヴァニア公としての野望、周辺諸国との複雑な関係、そしてオスマン帝国の影響という、当時の東ヨーロッパの政治情勢を色濃く反映したものでした。

もう一度検索