ラースロー1世 (ハンガリー王)

ラースロー1世について

ラースロー1世（I. László, 1040年6月27日 – 1095年7月29日）は、ハンガリーの国王として1077年から1095年まで在位し、聖王としても知られています。彼はその治世において、クロアチアやダルマチア地方へのハンガリーの領土を大いに拡大しました。また、カトリック教会では聖人として崇敬されています。

生い立ちと即位

ラースロー1世は1040年にハンガリー王ベーラ1世とその妻リグザの子としてポーランドで誕生しました。彼の家系は、ポーランド王家と関係しており、この背景が後の治世においても影響を与えました。1077年、兄ゲーザ1世の死去を受けて王位に就きます。即位後、初代国王イシュトヴァーン1世を列聖することで、アールパード朝としての正統性を強化しようとしました。これには、教会の支持を得る狙いがあったと考えられています。

外交と領土拡大

ラースロー1世が即位した年は、教会と国家の権力を巡る闘争が激化した時期でもありました。当時、ドイツ側の圧力を軽減するために、彼は教皇グレゴリウス7世を支持しました。この政治的な協力は、ハンガリーにおけるドイツの脅威を和らげ、結果的に彼の治世中、ハンガリーの領土をトランシルヴァニアやドナウ川下流へと広げることを可能にしました。この西方の混乱は、彼にとって追い風となりました。

子孫と婚姻関係

ラースロー1世には明らかでない部分が多いものの、2人の娘がいたとされます。一人は名も知られていないが、1090年ごろにヴォルィーニ公ヤロスラフに嫁ぎました。もう一人の娘、ピロシュカは、ハインリヒ4世の対立皇帝であるシュヴァーベン公ルドルフの娘であり、後に東ローマ帝国の皇帝ヨハネス2世コムネノスの皇后となりました。これらの婚姻は、ハンガリーと他国との関係を強化する重要な要素となりました。

クロアチア征服とダルマチアの影響

1089年にはクロアチア王家が断絶し、ラースローはこの機会を捉えてクロアチアを征服しました。さらに、ダルマチアの諸都市にも影響力を行使するようになります。しかし、これには複数の勢力との抗争を伴いました。当時、東ローマ帝国やローマ教皇、ヴェネツィアなどがダルマチアに関心を持っており、これらの勢力との対立が生じました。特に、教皇ウルバヌス2世がダルマチアの支配を認めなかったため、ラースローは対立教皇であるクレメンス3世を支持することになります。

死去とその後の評価

1095年にラースロー1世は亡くなり、その後列聖されました。彼は「聖王」として称えられ、現在でもハンガリーの人々に深く愛されています。後継者は彼には男子がいなかったため、兄王の遺児カールマーンとアールモシュ兄弟のうち、アールモシュが期待されていました。しかし、ラースロー死後、実力をもってカールマーンが王位を継承することになりました。

ラースロー1世の治世は、ハンガリーの領土拡大と同時に、宗教的な権威を強化し、後代に強い影響を与えました。彼の功績は、現在でも歴史的な評価を受け続けています。

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