ラーゼフォン 多元変奏曲

ラーゼフォン 多元変奏曲

『ラーゼフォン 多元変奏曲』は、2003年に公開された劇場版アニメーション作品です。2002年にフジテレビ系で放送された人気アニメ『ラーゼフォン』を再編集し、新たなシーンを追加することで、物語に深みと奥行きを与えています。

ストーリー

物語は、2012年12月の東京から始まります。夕暮れの教室で、美嶋遙と神名綾人は二人きりで言葉を交わしていました。そこへ、朝比奈浩子が手紙を手に現れ、すぐに立ち去ります。

その直後、遙は家族と共に東京を離れますが、目の前には信じがたい光景が広がっていました。東京が突如として“木星”絶対障壁に覆われ、半球状に隔離されてしまうのです。予期せぬ綾人との別れに、遙は絶望します。

3年後、東京は変わらずそこにあり、綾人もまた変わらない日々を送っていました。しかし、東京以外の世界は滅亡したとされています。綾人は遙を忘れられずにいますが、記憶は薄れつつありました。そんな中、東京は謎の敵による空襲を受けます。

破壊された街を彷徨う綾人は、遙の幻影を見ます。幻影に導かれるように、彼は紫東遙という女性と出会い、そこから新たな物語が動き出します。

TV版からの変更点

劇場版では、TV版から様々な変更が加えられています。

小夜子やキムなど、六道学校の門下生として集合写真にのみ登場するキャラクターが存在します。
如月樹や一色真の背景、功刀仁と九鬼正義の因縁は描かれていません。
「美嶋玲香」は登場しません。
MUフェイズ（ムーリアン化）の主な症状として、血の青色化に加え、MUフェイズ以前の記憶が徐々に消滅していくという設定が追加されています。
TV版では語られなかった神名綾人の父親と麻弥のエピソードが描かれています。
バーベムは、「かつて恣意的な調律を行おうとしてMU世界を破滅させ、そして何の反省もなく再び恣意的な調律を行おうとしている」人物として、物語における「諸悪の根源」と位置づけられています。
エンディングはTV版とは全く異なるものになっています。
亘理TERRA長官や新聞記者の弐神（連合統括部六課の十文字猛）は登場しません。
久遠、キム、エルフィといったキャラクターと綾人が接するシーンはほとんどありません。
恵が綾人に対して恋愛感情を抱くこともありません。
弐神が登場しないため、綾人の相談役は樹のみに絞られています。

これらの変更により、物語全体が「綾人と遙のラブストーリー」としてより明確に焦点が当てられています。

登場人物

神名綾人 (かみな あやと)

声 - 下野紘

ラーゼフォンと同調し、世界を「調律」する力を持つ主人公。かつての恋人・美嶋遙の幻影を追い求めています。

美嶋遙 (みしま はるか)

声 - 坂本真綾

綾人の中学生時代の同級生で恋人。TOKYO JUPITERの出現により綾人と離れ離れになります。

神名玲香 (かみな れいか)

声 - 坂本真綾

調律された世界で生まれた遙の孫。TV版の美嶋玲香に似ており、明るい性格です。

紫東遙 (しとう はるか)

声 - 久川綾

TOKYO JUPITERへの潜入・綾人奪取任務を担当するTERRAの情報員。

神名麻弥 (かみな まや)

声 - 橋本一子

綾人の母親。六道翔吾との関係はTV版とほぼ同様ですが、彼のもとを離れた経緯は大きく異なります。

如月久遠 (きさらぎ くおん)

声 - 桑島法子

この世界に現れてから眠り続けている謎の少女。

スタッフ

原作 - ボンズ、出渕裕
総監督 - 出渕裕
監督・構成・絵コンテ - 京田知己
脚本 - 京田知己、出渕裕
キャラクターデザイン - 山田章博
アニメーション制作 - ボンズ

主題歌

「tune the rainbow」

歌 - 坂本真綾

『ラーゼフォン 多元変奏曲』は、TV版とは異なる展開や解釈が盛り込まれており、ファンにとっては新たな発見がある作品となっています。綾人と遙の切ない愛の物語を、美しい映像と音楽と共に堪能できるでしょう。

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