京田知己

京田知己：アニメ界の異才、そのキャリアと作風

京田知己（きょうだともき）氏は、1970年生まれの日本のアニメ演出家、監督である。株式会社レイジングブルの取締役も務め、日本アニメーター・演出協会（JAniCA）会員としてアニメ業界に貢献している。大阪府出身で、武蔵野美術大学造形学部映像学科を卒業した経歴を持つ。

経歴：PVからアニメ界へ

京田氏のキャリアは、中野裕之氏のPVに影響を受けたことから始まる。武蔵野美術大学ではビデオアートを学び、卒業後はグラフィックデザイナーとしてサルブルネイに入社。その後、『新世紀エヴァンゲリオン』に感銘を受け、ガイナックスでアルバイトとしてキャリアをスタート。ゲーム班に配属されたのち、グループ・タックを経て、ボンズへと移籍する。

『キョロちゃん』の各話演出で演出家デビューを果たすと、『ラーゼフォン』制作への参加を経て、劇場版『ラーゼフォン 多元変奏曲』で監督デビュー。29歳という比較的遅いデビューながら、その後は急速にキャリアを重ねていく。

特に、『交響詩篇エウレカセブン』では、4クールに渡る長編シリーズの監督を務め、ロボットアニメにテクノ/ハウス音楽やサーフィンといったサブカルチャーを融合させた独自の作風で大きな注目を集めた。以後も『交響詩篇エウレカセブン』シリーズの劇場版や続編の監督を継続し、現在も第一線で活躍している。2024年現在、KADOKAWAの子会社であるレイジングブルに所属し、取締役の職務も担っている。

作風：複雑な戦闘と重層的なプロット

京田氏の演出は、既存映像の再構築による独特の物語表現や、情報量が多く複雑な戦闘シーンに特徴がある。特に、戦闘シーンにおいては『板野サーカス』を含む演出を多く手がけており、村木靖氏を特技監督として迎え入れることも多い。画面の彩度変化やアスペクト比の混在といった実験的な演出も積極的に取り入れている。

巨大建造物への描写には、橋梁設計技師だった父親の影響が見られると指摘されている。近年はプロットの重層化が顕著になっているが、本人はシンプルな物語をオーソドックスに演出することを目指しているという。

影響と師匠：アニメへの深い愛情と敬意

京田氏は、サルブルネイ代表の松本弦人を自分の師匠として挙げている。若き日の体験として、松本氏の落書きを見た際に自身の未熟さを痛感し、デザイナーとしての道を断念したエピソードを語っている。また、アニメ界の師匠として、本郷みつる氏や高山文彦氏の名を挙げている。

学生時代に観た『トップをねらえ！』や『ふしぎの海のナディア』を通じて庵野秀明氏を知り、尊敬する監督として名を挙げている。『ヱヴァンゲリヲン新劇場版：序』に絵コンテで参加したのも、作品そのものよりも庵野氏への興味からだったと語っている。

数多くのロボットアニメ作品に携わってきたが、本人はロボットアニメに強い興味はないと述べており、その発言からも、京田氏の多様な作品へのアプローチが垣間見える。

主な作品：多様なジャンルへの挑戦

京田氏は、テレビアニメ、劇場アニメ、OVAなど幅広い作品で演出や監督を務めてきた。代表作である『交響詩篇エウレカセブン』シリーズをはじめ、『ラーゼフォン』、『キョロちゃん』など、数多くの作品に携わっている。近年では『機動戦士ガンダム 水星の魔女』にも参加するなど、活躍の幅を広げ続けている。

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