ラーデンブルク

ドイツの古都ラーデンブルク：ローマ時代から現代まで続く歴史と文化の街

バーデン＝ヴュルテンベルク州ライン＝ネッカー郡に位置するラーデンブルクは、ネッカー川沿いに広がる歴史都市です。その歴史は紀元前にまで遡り、ローマ時代には重要な集落として栄え、中世には独自の都市として発展を遂げてきました。現在も中世後期の美しい街並みを残し、多くの観光客を魅了しています。

ロケーションと自然環境

標高約100mのオーバーライン地溝帯に位置するラーデンブルクは、ライン＝ネッカー大都市圏に含まれます。南東にはハイデルベルク、北西にはマンハイムと、主要都市へのアクセスも良好です。市域は1900ヘクタール以上あり、その約25%が市街地、約72%が農地、約3%が水域となっています。カンデルバッハ川がネッカー川に合流する地点もラーデンブルクの市域内にあります。

歴史の足跡：ローマ時代から現代まで

ラーデンブルクの歴史は、紀元前3000年から紀元前200年頃に遡ると考えられています。ケルト人の集落「Lokudunom（水城）」として始まり、その後、ローマ帝国の支配下に置かれます。紀元後40年にはローマ人の城が建設され、74年にはローマ軍の宿営地が設置されました。98年には、ローマ皇帝トラヤヌスによって「Civitas Ulpia Sueborum Nicrensium」としてキヴィタス（ローマ時代の自治都市）に昇格しました。

220年頃には、市場のバシリカ、神殿、劇場、共同浴場などが建設され、市壁で囲まれた都市は大きく発展しました。その広さは、当時のバーデン＝ヴュルテンベルク州の他のローマ都市をはるかに凌駕するものでした。しかし、260年頃にはアレマン人によって破壊されます。その後もローマ人の一部は留まり、メロヴィング朝時代には王領として、またフランク王国時代にはヴォルムス司教の支配下に置かれました。

10世紀には最初の市壁が建設され、中世都市としての発展が始まります。13世紀には市長や審判人といった都市行政の組織が登場し、14世紀にはヴォルムス司教とプファルツ選帝侯との間で領土争いが起こるなど、激動の時代を過ごしました。宗教改革期を経て、三十年戦争やプファルツ継承戦争で被害を受けながらも、ラーデンブルクは発展を続けました。18世紀にはプファルツ選帝侯領となり、その後バーデンに編入されました。19世紀には、バーデン革命で激しい戦闘がネッカー川に架かる橋で起こったことも知られています。20世紀以降は、社会民主党やナチス党といった政党が勢力を争い、第二次世界大戦では大きな被害を受けることなく終戦を迎えました。

見どころ：歴史的建造物と博物館

ラーデンブルクには、歴史的な建造物や博物館が数多く残されています。

中世の市壁: 一部にはローマ時代の壁も使用されており、魔女の塔や坊主の塔といった遺構が残されています。
聖ガルス教会: 11世紀に建てられた教会で、アルプス以北では2番目に大きなローマ時代の市場のバシリカ跡が教会の前にあります。
ロプデンガウ博物館: ローマ時代の考古遺物や市史、民俗文化に関する展示が充実しています。ジュピター巨人柱のコピーも展示されています。
カール・ベンツ自動車博物館: 自動車パイオニアであるカール・ベンツゆかりの博物館で、彼の業績を偲ぶことができます。
マリアの泉とマルクト広場: 19世紀のバロック様式のマリア像を模した泉が、マルクト広場に設置されています。
市庁舎とドームホーフ: ドームホーフ跡地に一部が建つ市庁舎は、かつてヴォルムス司教の居館でした。
* その他の建造物: ゼバスティアン礼拝堂、プロテスタントの市教会、聖アントニウスの像がある旧アントニウス施療院、ローマ時代の港湾防衛施設など、見どころが満載です。

ラーデンブルクの今：経済、交通、教育

現在、ラーデンブルクには日用化学品メーカーの工場や、ライン＝ネッカー統合司令センターなどがあります。交通面では、ネッカー川にはフェリーが運航しており、マイン＝ネッカー鉄道も通っています。アウトバーンA5号線へのアクセスも良好です。

教育機関としては、基礎課程学校、本課程学校、実業学校、ギムナジウム、養護学校などがあり、近隣地域からも多くの生徒が通っています。

まとめ

ラーデンブルクは、長い歴史と豊かな文化を誇る魅力的な都市です。ローマ時代の遺跡から中世の街並み、そして現代の産業施設まで、多様な要素が調和して存在しています。ネッカー川沿いの美しい景観と、歴史的建造物、博物館を訪れて、ラーデンブルクの歴史と文化に触れてみてはいかがでしょうか。

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