リアジェット85

リアジェット85は、ボンバルディア・エアロスペース（リアジェット・ブランド）が2007年10月に開発を発表したビジネスジェット機です。この機体の最大の特徴は、ボンバルディアのビジネスジェット機として初めて全複合材料を使用した点にあります。この設計により、軽量化と高い強度を両立させ、FARパート25基準に適合する安全性を目指しました。

設計上の性能目標として、速度はマッハ0.82、航続距離は3,000海里（約5,556km）とされており、北アメリカ大陸を横断できる能力を持つことが計画されていました。乗員は2名、乗客は8名が搭乗可能で、ビジネス用途に十分なキャパシティを備えていました。機体の構造は、低翼配置の主翼にウイングレットを備え、エンジンは胴体後部に左右一基ずつ配置、尾翼はT字型を採用しています。アビオニクスには、最新のグラスコックピットが採用され、操縦席には3基のLCDディスプレイが設置される予定でした。

開発当初は、2009年の開発完了を目指していましたが、実際には2014年4月に飛行試験1号機が初飛行を実施しました。しかし、市場からの受注が伸び悩んだことに加え、開発費が予想以上に嵩んだため、2015年1月に開発が中断されました。ボンバルディアは、より市場のニーズが見込めるCSeries（現エアバスA220）とGlobal 7000/8000の開発に経営資源を集中させることを決定しました。最終的に、2015年10月にリアジェット85の開発は正式にキャンセルされ、幻の機体となりました。

リアジェット85は、革新的な複合材料の採用や高い性能目標を掲げていましたが、市場環境の変化や開発上の困難により、その姿を空に見せることはありませんでした。このプロジェクトは、航空機開発における市場ニーズの重要性や、資源配分の戦略的な判断の必要性を示す事例として、今後に教訓を残すこととなりました。

外部リンク

Bombardier Learjet website
Learjet 85 website

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