リウ・カイチー

リウ・カイチー

リウ・カイチー（廖啓智、Dick Liu Kaichi、1953年9月30日 - 2021年3月28日）は、香港の著名な俳優です。約半世紀にわたるその活動期間を通じて、テレビドラマと映画の両分野で数多くの作品に出演し、特に深みのある助演者として香港エンターテインメント界において重要な役割を果たしました。

キャリアの初期は主にテレビドラマで活躍し、1980年代からその存在感を示しました。代表的なテレビドラマ出演作には、1980年の『上海灘』、1986年の『倚天屠龍記』、1987年の『書剣恩仇録』、1993年の『射鵰英雄傳之九陰真経』など、武侠ドラマや時代劇の話題作が含まれます。また、2001年には人気シリーズ『尋秦記 タイムコップ B.C.250』、2010年には『四人の義賊 一枝梅（イージーメイ）』に出演するなど、幅広いジャンルの作品で多彩な役柄を演じ分けました。

1980年代後半からは映画への出演も精力的に行い、助演俳優としてその真価を発揮しました。彼の出演した映画は非常に多く、多様なジャンルに及びます。特に社会派ドラマからアクション、サスペンスまで、主役を支える重要なキャラクターとして作品世界に奥行きを与えました。

代表的な映画出演作

『籠民』(1992年): この作品での演技は高く評価され、キャリア初期の代表作となりました。
『インファナル・アフェア 無間序曲』(2003年): 香港ノワールの金字塔シリーズの一作。主要人物を取り巻く重要な役を演じました。
『香港国際警察/NEW POLICE STORY』(2004年): アクション大作での存在感ある演技。
『SPL/狼よ静かに死ね|SPL_狼よ静かに死ね』(2005年): アクション作品での印象的な役柄。
『ビースト・ストーカー/証人|ビースト・ストーカー_証人』(2008年): この作品での演技は特に絶賛されました。
『プロジェクト・グーテンベルク 贋札王』(2018年): 後期の代表作の一つであり、国際的にも評価された犯罪サスペンス。

これらの作品以外にも、『クライム・キーパー 香港捜査官』(1989年)、『もう一度逢いたくて〜星月童話』(1999年)、『ドラゴン・スクワッド』(2005年)、『影なきリベンジャー 極限探偵C+』(2007年)、『プロテージ/偽りの絆』(2007年)、『コンシェンス/裏切りの炎』(2010年)、『密告・者』(2010年)、『イップ・マン 最終章』(2013年)、『ファイアー・レスキュー』(2014年)、『Zの嵐』(2014年)、『SHOCK WAVE ショック ウェイブ 爆弾処理班』(2017年)など、多くの話題作、ヒット作に参加しています。

リウ・カイチー氏の演技力は、香港映画界において最高の栄誉の一つとされる香港電影金像奨で繰り返し認められました。彼はこの賞において、助演男優として顕著な功績を残しています。

主な受賞・ノミネート歴（香港電影金像奨）

1993年 第12回 最優秀助演男優賞 受賞: 『籠民』
2004年 第23回 助演男優賞 ノミネート: 『インファナル・アフェア 無間序曲』
2006年 第26回 助演男優賞 ノミネート: 『SPL/狼よ静かに死ね|SPL_狼よ静かに死ね』
2009年 第28回 最優秀助演男優賞 受賞: 『ビースト・ストーカー/証人|ビースト・ストーカー_証人』

二度の最優秀助演男優賞受賞は、彼がいかに香港映画界にとって貴重な名脇役であったかを物語っています。どのような役柄でも深い人間性を表現し、観客に強い印象を残すことができる稀有な俳優でした。

2021年3月28日に惜しまれつつもその生涯を閉じましたが、リウ・カイチー氏が香港のテレビや映画に残した功績は計り知れません。彼の誠実で確かな演技は、今後も多くの映画ファンや俳優たちの間で語り継がれていくことでしょう。彼は間違いなく、香港エンターテインメント史に名を刻む偉大な俳優の一人です。

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