リエック・マチャル

リエック・マチャル・テニィ

リエック・マチャル・テニィ（Riek Machar Teny、1950年生まれ）は、南スーダンの重要な政治家であり、現在は同国の第一副大統領を務めています。彼は南スーダンの独立前から政治に関わり、数々の重要な役割を果たしてきました。

生い立ちと初期の活動

1950年、英埃領スーダンで生まれたマチャルは、ジョン・ガラン大佐が率いるスーダン人民解放軍（SPLA/M）の初期メンバーの一人として活動を始めました。1991年には、ラム・アコルやゴードン・コング・チュオルと共にSPLAナシル派を結成し、党内で影響力を持ちました。その後、SPLA統一派にも参加し、武装闘争を指揮しました。

マチャルは、南部スーダン住民の民族自決権を主張し、「新スーダン」路線の否定を訴えました。この頃、彼はイギリス出身の援助員エマ・マキューンと結婚しましたが、エマは1993年に自動車事故で亡くなりました。

南スーダン独立への貢献

1997年、南スーダンの民族自決を合法化する内容を含むハルツーム和平協定が締結され、マチャルも署名しました。彼は1997年から2002年まで南部スーダン国防軍（SSDF）の司令官を務め、南部スーダン調整評議会議長兼スーダン共和国大統領補佐官も兼任しました。2005年8月11日には南部スーダン副大統領に就任し、2011年7月9日の南スーダン共和国独立に伴い、同国副大統領に就任しました。

副大統領解任と和平への道のり

2013年7月、マチャルはキール大統領によって副大統領職を解任されました。同年12月には、マチャル支持派と政府軍の間で戦闘が勃発し、南スーダンは混乱に陥りました。周辺諸国の介入を経て、2015年8月には和平合意が成立し、2016年4月にはキールを大統領、マチャルを第一副大統領とする暫定政権が発足しました。

しかし、和平は長くは続かず、同年7月には両者の警護隊が衝突し、再び対立が激化しました。マチャルは再び第一副大統領を解任され、キールに対する反政府勢力に武力闘争を呼びかけたことで、周辺諸国からの批判を浴び、南アフリカに拠点を移しました。

第一副大統領への復帰と課題

2018年8月5日、スーダンにてキール大統領と統一政府樹立に合意し、マチャルは3年間限定の移行政府の第一副大統領に就任することが決定しました。移行政府の発足は2020年2月22日まで延期され、マチャルは期限前日に第一副大統領への就任宣誓を行いました。しかし、合意内容はほとんど履行されず、2022年8月にはキール大統領が選挙実施の困難さを理由に暫定統治期間を2年間延長し、総選挙は2024年12月に延期されました。マチャルも協定の履行を確実にするため、移行期間の延長に同意しました。

リエック・マチャルは、南スーダンの独立と和平に深く関わってきた政治家であり、その動向は今後も注目されます。

もう一度検索