スーダン人民解放軍

スーダン人民解放軍・スーダン人民解放運動（SPLA/SPLM）

スーダン人民解放軍・スーダン人民解放運動（Sudan People's Liberation Army/Sudan People's Liberation Movement、SPLA/SPLM）は、1983年にジョン・ガランらが中心となり結成された、南スーダンの旧反政府武装組織・政党です。

概要

SPLA/SPLMは、ヌメイリ、サーディク・アル＝マフディー、オマル・アル＝バシールら北部のアラブ人主導の政権と、第二次スーダン内戦で激しく争いました。1989年には国民民主同盟にも加盟しています。2005年1月には南北内戦の包括和平協定が結ばれ、ジョン・ガランを大統領とする南スーダンの半自治政府が認められました。しかし、同年7月30日にジョン・ガランが急逝、議長と南スーダン共和国大統領職はサルバ・キール・マヤルディに引き継がれました。

歴史

1983年、第一次内戦の元反乱兵の説得のため、政府から地方都市ボルに派遣された軍の大佐ジョン・ガランは、地方分権と民主主義の実現、南北の地域格差是正などを掲げ、「新スーダン」建設を目指しSPLAを立ち上げました。彼は2005年7月30日に死去するまで、議長と最高司令官を兼任しました。

正式名称はスーダン人民解放軍・スーダン人民解放運動 (SPLA/SPLM) ですが、軍事部門が突出していたためSPLAが通称として用いられました。第二次内戦は、宗教と民族の対立という側面が強調されることが多いですが、南部に豊富な原油資源の分配を巡る争いという側面も持っていました。

SPLAはソ連やエチオピアなどの支援を受け、南部全域とアビエイ、ヌバ山地、南部青ナイル州に支配領域を広げ、一時5万人の大勢力となりました。1989年に北部がバシール政権となると、民族イスラム戦線の影響で政党が禁止され、それらの政党と国民民主同盟が結成されました。

幹部の大半が南部最大の部族であるディンカ族だったため、SPLA内部では内紛が多発しました。1991年にエチオピアでメレス・ゼナウィ政権が成立すると支援が弱まり、SPLAはジョン・ガランの主流派（トリット派）と、ケルビノ・クアニン・ボルのバハル・エル＝ガザル派、ヌエル人のリエック・マチャルのナシル派（のち統一派、南スーダン独立運動/軍）に分裂しました。この分裂は政権側の工作によるものでした。ウィリアム・ニュオンは1992年に統一派に参加し、政府軍に協力した後、主流派に復帰しました。南スーダン独立運動/軍などの分派の多くは、1997年4月のハルツームでの個別和平合意により政権に取り込まれ、統一民主救済戦線 (United Democratic Salvation Front, UDSF) を結成しました。

1994年、スーダン政府はウガンダがSPLAを支援していると非難。それに対しSPLAは、ウガンダ国内で活動してきたと主張しました。逆にウガンダ政府は、神の抵抗軍 (LRA) への北部政権の支援を非難し、のちにスーダン領内でも LRA 掃討を行うようになりました。

SPLAは、南部紛争の終結を交渉する主要な南部組織であり続け、ダルフールでは不安定な平和が脅かされていましたが、2005年にSPLA/Mとスーダン政府の間で和平協定が結ばれ、南スーダンの自治が正式に合意されました。SPLMは和平協定以降、南北スーダンで政党として認められています。

2011年の南スーダン独立後は、SPLMは政権与党となり、SPLAは正規軍（南スーダン軍）に再編成されました。しかし、北スーダンでは依然として武装組織として活動しており、南コルドファン州やヌバ山地を拠点にスーダン軍と度々衝突しています。

2013年12月14日、首都ジュバなどで、同年7月に解任されたマシャール前副大統領を支持する軍の一部がクーデター未遂事件（南スーダンクーデター未遂事件 (2013年)）を発生させました。

参考文献

栗本英世「『上からの平和』と『下からの平和』―スーダン内戦と平和構築」平成15年度 外務省委託研究『紛争予防』第6章 日本国際問題研究所 2004年3月31日

関連項目

南スーダンの国旗
スーダン人民解放運動・反体制派 (SPLM-IO)
スーダン人民解放軍（ヌエル族） (SPLA-Nasir)

外部リンク

* The Official SPLM Website（英語）

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