ジョン・ガラン

ジョン・ガラン・デ・マビオル：スーダン和平への道標

ジョン・ガラン・デ・マビオル（John Garang de Mabior, 1945年6月23日 - 2005年7月30日）は、スーダンの軍人、政治家であり、スーダン副大統領、スーダン人民解放軍（SPLA）最高司令官を歴任しました。彼は、スーダンの内戦において重要な役割を果たし、和平合意への道筋をつけた人物として知られています。

生い立ちと教育

ガランは、上ナイル地方の貧しいディンカ族の家庭に生まれました。幼くして孤児となりながらも、親類の支援を受け、ワーウやルンベクの学校で学びました。1962年には第一次スーダン内戦に参加しますが、若年であったため、指導者から教育を受けることを勧められます。その後、タンザニアで中等教育を修了し、アメリカのグリネル大学で経済学を学びました。さらに、ダルエスサラーム大学で東アフリカの農業経済学を研究し、大学生アフリカ革命戦線のメンバーとして、後のウガンダ大統領ヨウェリ・ムセベニらと親交を深めました。内戦終結後、スーダン軍に吸収され、アメリカ陸軍米州学校で上級歩兵将校コースを修了。アイオワ州立大学で農業経済学の修士号と博士号を取得しました。

反政府軍指導者として

1983年、ガランはスーダン人民解放軍（SPLA/M）を結成し、議長兼最高司令官として、政府のイスラム法導入に抵抗しました。これが、20年以上にわたる第二次スーダン内戦の引き金となり、150万人もの犠牲者を出すこととなりました。彼は、キリスト教徒であり、南部スーダンの非ムスリム住民（アニミズムやキリスト教徒）を代表していましたが、内戦の宗教的な側面を強調することはありませんでした。SPLAは、リビア、アルジェリア、タンザニア、ウガンダ、エチオピアなどの支援を受け、南部の大半を支配下に置きました。

和平への道

ガランは、1985年の暫定政権や1986年の選挙への参加を拒否し、反政府指導者としての道を選びました。しかし、2005年1月9日、SPLAとスーダン政府は、ケニアのナイロビで和平合意に署名。ガランは、第一副大統領に就任し、南部スーダンの行政長官として、6年間の限定的な自治権を持つこととなりました。これは、スーダン出身のキリスト教徒や南部出身者にとって、これまでにない高い地位でした。彼は、「これは私やアル＝バシールの和平ではない。スーダン人の和平だ」と語り、和平への決意を示しました。

突然の死とその後

2005年7月末、ガランはウガンダからの帰路、ヘリコプターの墜落事故により死去しました。彼の死は、和平プロセスに大きな影響を与える可能性がありました。政府は3日間の国家追悼を表明しましたが、ハルツームでは大規模な暴動が発生し、多数の死者が出ました。SPLAの主要メンバーは、和平プロセスが継続されることを表明しましたが、彼の死後、SPLA内部の抗争が勃発する可能性も指摘されました。

ジョン・ガラン・デ・マビオルの死は、スーダンにとって大きな損失であり、和平への道のりは不確かなものとなりました。しかし、彼の遺志は、その後の南部スーダン独立へと繋がり、スーダンの歴史に大きな足跡を残しました。

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