リオ・アスル

リオ・アスル遺跡の概要

リオ・アスル（Río Azul）は、グアテマラのペテン県の北東部に位置する重要なマヤ遺跡であり、その周囲には美しい自然が広がっています。この遺跡は、1990年に設立されたミラドール＝リオ・アスル国立公園の一部です。

遺跡の構成と歴史

リオ・アスルはオンド川の支流であるアスル川沿岸に広がり、都市の中心部、河川沿いの地域、沼地を利用した農地の三つに大別されます。人々の定住は先古典期、紀元前800年頃に始まりましたが、古典期の393年にはシヤフ・カックの征服によって新たな王朝が成立しました。この時期にはティカルやテオティワカンの文化的影響を受けた新しい社会が形成されることになります。

440年にはティカルの支配者の血を引く者がリオ・アスルの統治者として君臨し、450年から530年にかけては、ティカルの支配層がこの場所に墓を築くなど、重要な拠点として栄えました。この時期、リオ・アスルの人口は約3500人に達したと考えられています。

しかし、530年から660年にかけての間にリオ・アスルは一度焼き払われ、放棄されることとなりました。古典期後期には再び住人が戻るものの、再度北部マヤからの侵略を受けて焼き払われてしまいます。最終的には880年頃には再度放棄されています。

調査の歴史

リオ・アスル遺跡は、1960年代にこの地域で石油採掘を行っていたサン石油により発見され、ハーバード大学のリチャード・アダムズが調査を担い、その名をこの遺跡に付けました。1976年から1981年にかけては、組織的な盗掘が行われ、125ヶ所以上の盗掘坑が開かれました。

1981年、考古学者イアン・グレアムは盗掘によってむしばまれた墓に残された壁画を発見しました。その後、国立グアテマラ考古学・民族学博物館のラファエル・モラレスがこの遺跡を保護する取り組みを行いました。1983年から1987年にかけては、アダムズが本格的な学術調査を実施しました。

特に注目すべきは、未盗掘の墓19から発見された壺の銘文です。デイヴィッド・ステュアートが解読した結果、これは「フルーツ味のチョコレート飲料を入れるための器」とされ、左遷されたその壺を分析するために中身がハーシーの研究所に送られたところ、実際にチョコレート成分が検出されました。この発見は、マヤ文字の解読における進展を示す重要な成果とされています。

リオ・アスルは、古代マヤ文明の多様性とその歴史を示す貴重な証拠を提供する遺跡であり、今後の研究が期待されます。

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