リクトリア (小惑星)

リクトリア (1107 Lictoria) は、太陽系内の小惑星帯に存在する小惑星の一つです。この天体は、1929年3月3日にイタリアの天文学者ルイージ・ヴォルタによって、ピーノ・トリネーゼ天文台で発見されました。ヴォルタは、この発見を詳細に記録し、その軌道要素を精密に計算しました。

リクトリアの軌道は、小惑星帯の中でも特に大きなグループであるヒギエア族の小惑星と類似性を示しています。ヒギエア族は、大きな母天体の衝突によって生じたと考えられている小惑星の集団で、共通の軌道特性を持つことで知られています。しかし、リクトリアは、その大きさやスペクトル分析の結果から、ヒギエア族のメンバーではないと考えられています。この事実は、小惑星帯の複雑さと多様性を示唆しており、それぞれの小惑星が独自の起源と進化の歴史を持っていることを示しています。

リクトリアの名称は、古代ローマ時代に高官の警護を担当したリクトル（lictor）に由来しています。リクトルは、ファスケスと呼ばれる束ねた杖を携え、公的な権威を象徴する役割を担っていました。この名称は、発見者であるヴォルタによって提案され、小惑星の発見という天文学的な成果と、古代ローマの歴史的な要素を結びつける意図が込められています。

2008年2月には、福島県においてリクトリアによる掩蔽現象が観測されました。掩蔽とは、天体が別の天体の前を通過する際に、手前の天体が後ろの天体を隠す現象のことです。この観測によって、リクトリアの形状や大きさをより詳細に知ることができました。掩蔽観測は、小惑星の物理的特性を研究する上で重要な役割を果たしており、リクトリアの理解を深める上で貴重なデータを提供しています。

リクトリアの研究は、太陽系初期の歴史や小惑星帯の形成過程を理解する上で重要な手がかりとなります。将来の観測や研究によって、リクトリアの起源や組成についてさらに詳しい情報が得られることが期待されます。

出典:

JPL Small-Body Database Browser - Lictoria:
https://ssd.jpl.nasa.gov/sbdb.cgi?sstr=1107

2008年2月19日 小惑星リクトリアによる掩蔽の観測成果

関連項目:

小惑星の一覧 (1001-2000)

外部リンク:

Lictoria JPL Small-Body Database Browser
* 2008.2.19 小惑星リクトリアによる掩蔽の観測成果

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