リゲル

リゲル (Rigel)

リゲルは、冬の夜空で際立つオリオン座のβ星として知られる1等星です。オリオン座の中でも特に明るい恒星の1つであり、実のところその明るさは、同じオリオン座内のα星ベテルギウスを上回っています。リゲルは冬のダイヤモンドを形成する一部でもあり、冬の観察において欠かせない存在です。

概要

リゲルの平均視等級は約0.13等で、地球からは約860光年の距離に位置しています。主星であるリゲルAは、青色超巨星というカテゴリーに分類され、非常に高い光度を持ち、太陽の12万倍から27万9000倍にもなります。そのため、肉眼でも明るく確認できる恒星の一つで、本当に視覚的なインパクトを持っています。この星は、中心での水素の核融合が既に終了しており、現在はヘリウムを中心に核融合が進行中で、その結果として中心核が収縮し、半径は太陽の79倍から115倍に達しています。

リゲルAは、はくちょう座α型変光星(ACYG)に分類され、22日から25日ごとに変動し、等級の変化は0.03から0.3の範囲で見られます。また、リゲルにはリゲルBCという伴星があり、主星よりも暗い特徴を持っています。この伴星はさらにリゲルBとリゲルCからなる連星系に分かれ、リゲルB自体も分光連星と呼ばれる複雑な構造をしています。

物理的特徴

リゲルは、数千万年後にヘリウムの核融合が開始されると予想されており、赤色超巨星への進化が見込まれています。より重い元素の形成が進むと、最終的には超新星爆発へと至ると考えられています。しかし、恒星風の影響で急速に質量を失っているため、数百万年後にはその質量が減少し、超新星爆発が起こせないほどになるかもしれません。最終的にはネオンと酸素からなる白色矮星としてその生涯を終えるという見解も存在します。

連星系

リゲルは1822年にフリードリッヒ・フォン・シュトルーベによって連星として観測されました。リゲルAとリゲルBCの平均距離は2500天文単位（au）以上であり、約24000年から25000年の周期で公転しています。リゲルBCはリゲルBとリゲルCという2つの星からなる連星系で、さらにリゲルBは分光連星であり、リゲルBaとリゲルBbが共通重心を巡っています。この連星系は、その軌道が約63年から400年という短い周期で変化し、非常に興味深い天文学的対象となっています。またリゲルの外側には、約11500auの距離にあるK型主系列星が、伴星リゲルDである可能性があります。この星は25万年の周期で太陽の約0.38倍の質量を持っています。

名称

リゲルの名称は、オリオン座のβ星として知られ、アラビア語の「脚」を意味する「rijl」から派生したものです。この名前は、10世紀末から天文学に用いられてきた歴史があります。日本語では「リゲル」と呼ばれ、アルゲバルという別名も存在します。和名は「源氏星」とされ、源平合戦にちなんで名付けられています。これにより、日本の民間伝承と天文学が交わる興味深い例となっています。

これほど多くの魅力的な特徴があるリゲルは、宇宙の神秘を象徴する重要な恒星です。

もう一度検索