リコール (一般製品)

リコールの概要

リコールとは、設計や製造時の過誤によって製品に欠陥が認められた場合に、法令に基づきまたは製造者自身の判断によって、無償で修理、交換、返金、回収といった措置を講じることを指します。このリコールは、法令によるものと製造者や販売者が自主的に行うものに大別されます。

法令に基づくリコール

消費生活用製品安全法に基づくリコール

この法律により、重大な欠陥を抱える製品に対して経済産業大臣がリコール命令を出す権限を持っています。過去の例としては、2005年にパナソニック製の石油暖房機が引き起こした一酸化炭素中毒の事故や、2006年のパロマ工業製ガス湯沸し器による被害などがあります。また、2013年にはTDK製の加湿器が火災の原因となり、リコール対象となりました。これらのケースでは、リコール後にお詫びCMが放映されることもあります。

道路運送車両法に基づくリコール

自動車やオートバイが対象となる場合、リコールに関する登録が義務化されており、ユーザーが特定しやすいことから、重大な事故がない限りお詫びCMが放送されることは少ないです。各自動車メーカーは、該当製品の所有者に対し通知を行い、必要な対策を講じる義務があります。重大なリコールの場合、車検に合格できないこともありますが、様々なケースでは運行を続けられることもあります。

その他の法令に基づくリコール

健康食品に医薬品成分の混入が見つかった時や、食品の添加物や残留農薬が基準を超えた場合には、保健所が回収指示を行うこともあります。

自主的なリコール

製品に欠陥があった場合、たとえ製造者に過失がないとしても、製造物責任法により損害賠償の責任が生じます。これは企業イメージの低下を避けるためにも、自主的なリコールを実施する動機となります。政府は自主回収をリコールと同義に扱っており、近年は事業者に食品の自主回収を行う際の行政への届出を義務付けています。

実際のリコール例

日用品や機械類では、販売後に安全性に問題が見つかるケースが多く、通常使用中の発煙や強度不足が原因で事故が発生する可能性があります。他にも、玩具で不適切な材料が使用されていた場合や、食品で異物が混入した場合もリコールの対象となります。また、賞味期限の印字ミスや原材料名の欠落など、表示に関する誤りもリコールの事例として見られます。

医薬品のリコール

医薬品の自主回収は、健康への影響によってクラスIからIIIに分類され、それぞれの危険度に応じて個別に対応されています。クラスIは重篤な健康問題を引き起こす可能性がある製品、クラスIIは一時的な健康被害が考えられる製品、クラスIIIは健康問題を引き起こす可能性が低い製品を指します。

ユーザー特定の難しさ

リコールを行う際、ユーザーを特定するのが難しいことがあります。特に自動車などの登録が義務付けられている製品は特定が容易ですが、販売経路の匿名性や顧客データが不足している場合、ユーザーの把握が困難です。このため、回収漏れが発生し、事故に至ることもあります。

具体的なリコールの事例

パナソニックやTDKの製品では、リコール後長期間経過しても依然として未回収製品が存在する事例もあります。このように、リコール期間が長引くことは珍しくなく、特に30年以上経過した製品では、製造者の責任の限界も議論されています。

まとめ

リコールは消費者の安全を守るための重要な手段ですが、その実施には多くの課題があります。法令によるものと自主的なものの違いを理解し、消費者としての権利を知ることが大切です。また、不具合があった場合には適切に対応するための意識を持つ必要があります。

もう一度検索