リゴベルト・アルバレス

メキシコ出身のプロボクサー、リゴベルト・アルバレス（本名：Rigoberto Álvarez Barragán）は、1978年 1月20日にハリスコ州グアダラハラで生を受けました。彼は、スーパーミドル級において主要4団体を統一した世界的名王者サウル・カネロ・アルバレスの兄としても知られています。アルバレス家はボクシング一家であり、リゴベルトの他にも、ウェルター級で活躍したラモン・アルバレスやリカルド・アルバレスといった弟たちがいます。

プロキャリアの始まりと国内での躍進

リゴベルト・アルバレスがプロボクサーとしての第一歩を踏み出したのは、2000年2月1日のことでした。メキシコ国内でのデビュー戦では、イスマエル・ロドリゲスと拳を交え、わずか1ラウンドで相手をキャンバスに沈める鮮やかなKO勝利を飾り、プロのキャリアを好調にスタートさせました。

その後も彼は順調に白星を重ね、メキシコ国内の主要タイトルを次々と獲得していきます。2008年5月30日、グアダラハラで行われたロベルト・テナとのメキシコミドル級タイトルマッチでは、開始わずか1ラウンドでのKO勝利を収め、この王座を獲得。この勝利により、デビュー以来の無傷の連勝記録を「19」に伸ばしました。

さらにその勢いは止まらず、翌月2008年6月28日には、サポパンでフェリッペ・ロメロとメキシコスーパーミドル級タイトルを争い、こちらも3ラウンドでKO勝利。メキシコ国内の2階級を制覇するとともに、無敗記録を「20」に更新しました。

2009年1月24日には、グアダラハラでホセ・ウンベルト・コラルと対戦し、空位となっていたFECARBOXスーパーミドル級王座を獲得。この試合も4ラウンドでのKO勝利であり、プロデビューからの連勝記録を「22」まで伸ばしました。

キャリア初の黒星

快進撃を続けていたリゴベルトでしたが、プロとして初めて敗北を喫する瞬間が訪れます。2009年8月7日、南アフリカ共和国ブルームフォンテーンでのウィリアム・ガレとのWBF世界スーパーミドル級王座決定戦。初めて世界タイトルがかかったこの一戦で、彼は12ラウンドを戦い抜いたものの、0-3の判定で敗れました。この結果、デビュー以来続いていた無敗記録は23連勝でストップすることとなりました。

世界挑戦への道と挫折

WBFタイトル獲得に失敗した後、リゴベルトは階級をミドル級に戻し、再び世界の舞台を目指します。2010年1月16日、マルコ・アントニオ・ルビオとWBC世界ミドル級王座への挑戦者決定戦を兼ねたWBCラテンアメリカ世界ミドル級タイトルマッチで対戦しましたが、9ラウンド途中でTKO負けを喫し、WBC王座への挑戦権獲得はなりませんでした。

WBA世界王座の獲得

再び階級をスーパーウェルター級に戻したリゴベルトに、大きなチャンスが舞い込みます。2010年8月、WBA世界スーパーウェルター級王者だったミゲール・コットがスーパー王者に昇格したことにより、正規王座が空位となりました。暫定王者であった日本の石田順裕が正規王座への認定を望んでいましたが、WBAは正規王座決定戦の実施を決定します。

当初は石田の暫定王座防衛戦として予定されていた一戦が、WBAの判断で正規王座決定戦へと変更される異例の経緯を経て、2010年10月9日、メキシコのナヤリット州テピクでリゴベルト・アルバレス対石田順裕の正規王座決定戦が行われました。両者一歩も引かない激しい攻防が繰り広げられた結果、勝敗は判定に委ねられます。12ラウンド終了後、ジャッジの採点は2-1と僅差でリゴベルトを支持（115-112、114-113、113-114）。この勝利により、彼は見事WBA世界スーパーウェルター級正規王座を獲得しました。

王座陥落とその後

念願の世界王者となったリゴベルトでしたが、その戴冠期間は長くありませんでした。初防衛戦の相手は、WBAの指名挑戦者であった同級1位のオースティン・トラウト。2011年2月5日、再び故郷ハリスコ州グアダラハラのアレナ・コリセオで迎えたこの防衛戦で、リゴベルトはトラウトのスピードと技術に対応できず、終始劣勢を強いられました。結果は0-3の大差判定負け（108-119が二者、108-119が一者）。わずか4ヶ月余りで世界王座から陥落することとなりました。

王座陥落後、リゴベルトは再び世界のベルトを目指して再起を図ります。2011年10月19日には、オーストラリアのニューカッスルにて、元WBA世界スーパーミドル級王者アンソニー・ムンディンとWBA世界スーパーウェルター級暫定王座決定戦で対戦しました。しかし、この試合でもまたしても0-3の判定負けを喫し、世界王座への返り咲きは叶いませんでした。

戦績と獲得タイトル

これらの戦いを最後に、リゴベルト・アルバレスはリングを去りました。プロボクサーとしての最終的な戦績は、31戦27勝（20KO）4敗でした。高いKO率を誇り、メキシコ国内の複数階級でタイトルを獲得し、一度はWBA世界王座に就いたそのキャリアは、弟サウル・カネロ・アルバレスほどの脚光を浴びることはありませんでしたが、確かにメキシコのボクシング史に足跡を残しています。

主な獲得タイトル

メキシコミドル級王座
メキシコスーパーミドル級王座
FECARBOXスーパーミドル級王座
WBA世界スーパーウェルター級王座（防衛0）

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