リセット・ゲーム

リセット・ゲーム

『リセット・ゲーム』は、漫画家・吉開寛二（本作では吉開かんじ名義を使用）が手掛ける、緊迫感あふれるサスペンス漫画作品です。漫画配信プラットフォーム「GANMA!」にて、2014年7月13日より隔週日曜日に連載が開始されました。物語は大きく二部に分かれており、2019年8月4日まで第1章が描かれ、同年11月10日からは第2章が連載されています。現在、全254話、全16巻構成とされていますが、単行本としては徳間書店より「アニメージュコミックスGANMA!」レーベルから既刊3巻が刊行されています（情報は2016年8月時点）。

ストーリー概要

物語は、主人公である高校生、高間聖一が見慣れない白い空間で目を覚ます場面から始まります。そこは出入り口も窓も見当たらない、閉鎖された不可思議な場所でした。聖一と共に閉じ込められていたのは、幼馴染の沖奈那子。状況が一切掴めない二人の前に、天井からアフロヘアの男が突然降りてきます。彼らはこの奇妙な建物からの脱出を決意し、数々の謎に挑むことになります。脱出の過程で、彼らが収容されていたのが人工知能によって管理された「タワー」と呼ばれる更生施設であること、そして彼ら自身の過去に隠された秘密が徐々に明らかになっていきます。

第2章では、新たな登場人物たちが加わり、物語はさらなる局面を迎えます。

主な登場人物

物語には、個性豊かなキャラクターたちが多数登場します。

第1章で初登場する人物

高間 聖一（たかま せいいち）: 本作の主人公。メンバーからは「聖一」と呼ばれますが、奈那子だけは「聖ちゃん」と呼びます。ストレスにより髪の一部が白く変色しているのが特徴です。母子家庭で育ち、幼い頃から物体を空間的に捉える独特の感覚を持ち、黄金比を無意識に理解していた天才的な一面を持ちます。本人も気づいていない、細部まで記憶できる能力など「類まれなる才能」の持ち主であり、タワーのシステムからは「ウイルス」として認識されています。宝物はランドセルです。
沖 奈那子（おき ななこ）: 聖一の幼馴染。タワーの開発者である沖博士の娘であり、タワーに収容された時点で多くの事情を把握していました。
アフロ: 本名不詳。その特徴的な髪型から「アフロ」と呼ばれています。喧嘩っ早く荒っぽい振る舞いを見せることもありますが、情に厚く仲間を見捨てられない性格です。物語の終盤で本名を尋ねられた際も、「お前らにはアフロと呼ばれたい」と答え、聖一たち仲間内では引き続き「アフロ」と呼ばれ続けることになりました。幼い頃に親から虐待を受け、胸に大きなヤケドの傷跡があり、施設で育った過去を持ちます。
証（あきら）［メガネ］: 眼鏡をかけているため「メガネ」と呼ばれます。黒髪のおかっぱ頭に眼鏡姿が特徴です。麻酔や催眠が効かない特異体質の持ち主で、かつて眠らされた際に聞いた「記憶を消しておけ」という言葉を覚えていました。現在の丁寧語で話す話し方や、父親に「父さんだけを信じろ」と教え込まれて形成された性格の背景には、父親からの支配的な命令がありました。宝物は天体望遠鏡です。
立花 美香子（たちばな みかこ）［ポニー］: ポニーテールが特徴の少女。アフロからは「ポニー」と呼ばれます。元々は空手の黒帯でしたが、師範を負傷させたことで黒帯を剥奪され、空手界から追放されました。母親からは父親は死んだと聞かされていましたが、叔母から父親が生存しており、空手の師範をしていると知り、その道場に入門します。しかし8年間娘だと気づかれず、「親が親なら子も子だな」と侮辱されたことで師範を殴り飛ばしました。第2章に登場するロンゲとは、聖一たちと出会う以前にタワー内で行動を共にしていた仲間であり、ロンゲからは「ミカ」と呼ばれていました。宝物は空手の道着です。
川辺 努（かわべ つとむ）: 老舗「川辺パン」の二代目社長の息子。わがままで卑怯な一面があり、小太りで冴えないルックスのお坊ちゃんです。「ワッベワベワベ川辺パン」という有名なテレビCMに出演した経験があり、役者を目指してアクターズスクールに通っていました。
キーパー: 頭部に立方体の仮面を装着した、半裸の謎の男。タワーの構造を操作する能力を持っているようです。
ライスマン: 米の形をしたマスクとスーツを着用した男たちの総称。何らかの組織に所属しており、マスクにはナビゲーションなどの機能が備わっています。
マモル（田渕 豊）: ライスマンの一人。沖博士の監視役を務めていました。本名は田渕豊ですが、沖博士がつけた「マモル」という名前で呼ばれています。
沖 博士（おき はかせ）: 奈那子の父。本名は沖直人。タワーの開発に関わった人物であり、物語の重要な秘密を握っています。
サングラスの男: ライスマンたちが所属する組織の責任者と見られる人物。盲目です。
さゆり: サングラスの男の娘。過去にいじめられた経験から、他人をなかなか信用できません。

第2章で初登場する人物

水樹 ひな（みずき ひな）: 20歳、女性。お婆ちゃんから様々な人生の教訓を学んで育ちました。
糸井 哲也（いとい てつや）: 29歳、男性。フケ顔。他の登場人物が警戒心を抱く中、彼は比較的友好的に描かれていますが、過去には反社会的な組織で非情な取り立てを行っていたようです。
ロンゲ（または長髪）: 男性。制服姿であることから未成年と推測されます。本名は明かされておらず、第2章の仲間からもほとんど本名で呼ばれないため、読者からは髪型にちなんで「ロンゲ」などと呼ばれています。初登場時は警戒心が強く、フケ顔やひなを組織の人間と決めつけて襲いかかろうとする血の気の多い性格です。かつて立花美香子（ミカ）とタワー内で偶然出会い、短時間ながらその交流が彼の人生に大きな影響を与えました。
まこと: 帽子に伊達メガネをかけた男性。ロンゲより年上と思われます。底抜けにポジティブな楽天家です。過去に病気でサナトリウムでの生活経験があります。
しおり: まことと行動を共にする女性。登場時は名前が明かされず、後にまことが「しおり」と名付けました。
川辺パン捜索隊: 川辺努の父親である川辺パン二代目社長が、息子の捜索のために雇い、タワーに送り込んだ3人組。リーダー格の男性、ゴムボートを操る男性、その内縁の妻で構成されます。
ガウル: 第2章におけるキーパーのような役割を担う小型ロボット。ひなたちに試練を与えていましたが、ひながリセットボタンを押したことで彼女の指示に従うようになります。
坂上 博士（さかがみ はかせ）: 沖博士と同様に、タワーの開発に携わった人物です。

用語解説

タワー: 物語の主要な舞台。白い正方形の立方体が複雑に組み合わさった巨大な構造物です。人工知能が搭載されており、命令や自己判断によって立方体の形状を自在に変化させることができます。その正体は、奈那子の父である沖博士が開発し、サングラスの男が利用したとされる「更生施設」です。

映像化

2018年12月12日、「GANMA!」の5周年を記念するプロジェクトの一環として、特別実写映像が制作されました。俳優の新田真剣佑が主演を務め、映画監督の堤幸彦がメガホンを取り、約1分33秒の映画予告編のような形で制作されました。この映像は動画配信サイトYouTubeにて公開されました。

書誌情報

吉開かんじ氏による漫画『リセット・ゲーム』は、徳間書店が刊行する「アニメージュコミックスGANMA!」レーベルより単行本が発売されています。

第1巻: 2016年3月23日発売、ISBN 978-4-19-770168-1
第2巻: 2016年4月23日発売、ISBN 978-4-19-770170-4
第3巻: 2016年8月23日発売、ISBN 978-4-19-770171-1

（書誌情報は2016年8月23日現在のものです）

本作は、予測不能な展開と魅力的なキャラクター描写で読者を引き込む、GANMA!を代表するサスペンス作品の一つと言えるでしょう。

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