リチャードソンジリス

リチャードソンジリスの生態と特徴

リチャードソンジリス（Urocitellus richardsonii）は、哺乳綱ネズミ目に属するジリスの一種で、主にカナダ南部とアメリカ北部の草原地域に生息しています。この小型の啮齒類は、主に地下に巣穴を掘り、群れで暮らす特性を持っています。では、リチャードソンジリスについてその分布、形態、生態、食性、繁殖、そして人間との関わりなど、詳しく見ていきましょう。

分布

リチャードソンジリスはアメリカ合衆国のノースダコタ州、モンタナ州西部、ミネソタ州西部、およびカナダのアルバータ州南部とサスカチュワン州南部に分布しています。広大な草原に生息し、地中に巣を作るためその姿を見ることが少ないですが、適応力が高いため様々な環境で生息できます。

形態

このリスは、オスとメスで異なる体サイズを持ちます。メスは体長264-318mm、尾が55-82mm、体重は120-590g。一方、オスは283-337mmの体長、65-88mmの尾、290-745gの体重です。具体的には、オスはメスよりやや大きく、体重も重くなります。体毛は、背が濃い茶色で腹は褐色、そのため草原の環境にうまく溶け込んでいます。また、短い尾と耳が特徴で、これが彼らの名前の由来にもなっています。

生態

リチャードソンジリスは主に短い草の生えた平原に生息し、昼行性で地下の巣穴で生活します。樹上性のリスとは異なり、高い木に登ることはありません。巣穴は地中にトンネルを掘り、長さ10m、深さ25-75cmのように複雑な構造を持つこともあります。これらの巣穴は、時に他の動物たち、特にアナホリフクロウによって奪われることがあります。

彼らは社会性を持っていますが、オスは基本的に単独で暮らし、メス同士は親近感を持ちます。また、コロニー内では警戒音を発し、捕食者の接近を知らせ合うことも観察されています。

食餌

リチャードソンジリスは主に草食性で、その食事の80-100%は植物から成り立っています。特にイネ科の植物や広葉草本の葉や花、種子を中心とし、時には昆虫も食べることがあります。農地においては、作物の種子や若草も食べるため、時に害獣と見なされることがあります。

冬眠

リチャードソンジリスは1年の間、6-8ヶ月を冬眠に費やします。大人は6月から冬眠を開始する一方、子どもは遅れて8-10月ごろに冬眠をするため、その生活リズムが異なります。オスは春先に冬眠から目覚め、すぐに縄張りを確保する準備を開始します。

繁殖

リチャードソンジリスは年に一度の繁殖を行い、短期間（2-3週間）の繁殖期を持っています。この期間中、オス同士の縄張り争いが見られ、しばしば争いの結果として命を落とすオスも存在します。繁殖はメスが冬眠から目覚めてから数日後に行われ、妊娠期間は22-23日です。一度の出産で3-11匹の子を産み、彼らは地下の巣穴で28-30日間過ごした後、地上へ出てきます。

人間との関わり

リチャードソンジリスは農地開発などにより生息域が広がり、郊外の住宅地でも見かけることがあります。しかし、農作物を食害したり家畜が怪我をするリスクがあるため、農家や牧場主によって駆除される対象と見なされることがあります。対策として、罠や銃、毒などが用いられ、さらに巣穴を酸素とプロパンガスで満たして処理する方法も用いられています。

また、希少なペットとして飼育されることもありますが、リチャードソンジリスは野生の動物であり、他のペットと比較して飼育が難しいことがあります。日本では連用されることが少ないため情報が限られていますが、その独特な生態から、興味を引く生き物として知られています。

もう一度検索