リチャード・コンテ

リチャード・コンテ：ハリウッドとイタリア映画を繋いだ名優

リチャード・コンテ（1910年3月24日 - 1975年4月15日）は、アメリカ合衆国の俳優。ニュージャージー州ジャージーシティ出身のイタリア系アメリカ人として、彼は数々の仕事を経て俳優の道を歩み始めました。エリア・カザンとジョン・ガーフィールドという二人の巨匠に見出され、ニューヨークのネイバーフッド・プレイハウスで演技を磨いた彼は、1939年にブロードウェイで舞台デビューを飾ります。

1942年、20世紀フォックスと契約を結び、映画界に本格的に進出。そのキャリアは、フィルム・ノワール作品への出演が中心でした。彼の渋く、それでいて繊細な演技は、数々の作品で観る者の心を掴みました。1950年代後半からは、テレビドラマにも活躍の場を広げ、多方面で才能を発揮していきます。

コンテのキャリアにおいて特筆すべきは、フランク・シナトラとの親交です。シナトラ主演作品への出演は、彼のキャリアに大きな影響を与えました。『オーシャンと十一人の仲間』（1960年）では、シナトラ率いる一味の一員として、その存在感を示しました。また、『クィーン・メリー号襲撃』（1966年）、『トニー・ローム/殺しの追跡』（1967年）、『セメントの女』（1968年）など、シナトラとの共演作は数多く、息の合った演技は、多くの観客を魅了しました。

しかし、コンテの活躍はシナトラ作品に留まりません。『偉大な生涯の物語』（1965年）、『ホテル』（1967年）といった話題作にも出演し、高い演技力で確固たる地位を築き上げていきました。晩年には、イタリア映画にも出演。ハリウッド俳優がイタリア映画界で活躍することは、1960年代末から珍しくなくなりましたが、コンテもその流れを汲む一人でした。

コンテにとって転機となったのは、1972年公開の『ゴッドファーザー』への出演です。狡猾なボス、エミリオ・バルジーニ役を見事に演じきり、彼の演技は高い評価を受けました。この作品をきっかけに、マフィア映画への出演も増え、新たな境地を開拓していきます。

イタリア映画界でのコンテは、マカロニ・ウエスタンにも出演。1968年の『死の宣告』では、悪役として強烈な印象を残しました。さらに、1969年にはユーゴスラビアで制作された戦争映画『クロス・イーグル作戦』で監督デビューも果たしています。

その後も、コンテはイタリア映画界で活躍を続けました。『1931ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ニューヨーク』（1972年）、『ビッグガン』（1973年）、『ザ・ボス/暗黒街の標的』（1973年）、『イタリアン・コネクション』（1974年）など、数々の作品に出演。その多忙な日々は、1975年4月15日、脳梗塞による心臓発作で65歳という若さで幕を閉じました。

彼の死後も、『エクソシスト3』（1975年）などの作品が公開され、その名優としてのキャリアは、多くの人の記憶に刻まれ続けています。特に『ゴッドファーザー』シリーズは、彼の代表作として、今なお高い人気を誇っています。ハリウッドとイタリア映画界の両方で活躍したリチャード・コンテは、映画史に確かな足跡を残した稀有な俳優と言えるでしょう。

主な出演作品

パープル・ハート (1944)
旋風大尉 (1945)
激戦地 (1945)
記憶の代償 (1946)
いのち短かし (1947)
出獄 (1948)
都会の叫び (1948)
疑惑の渦巻 (1949)
他人の家 (1949)
深夜復讐便 (1949)
青いガーディニア (1953)
砂漠部隊 (1953)
驀走二万哩 (1954)
暴力団 (1955)
攻撃目標零 (1955)
明日泣く (1955)
紐育秘密結社 (1955)
海の壁 (1958)
コルドラへの道 (1959)
オーシャンと十一人の仲間 (1960)
僕のベッドは花ざかり (1963)
サーカスの世界 (1964)
偉大な生涯の物語 (1965)
クィーン・メリー号襲撃 (1966)
トニー・ローム/殺しの追跡 (1967)
ホテル (1967)
セメントの女 (1968)
ゴッドファーザー (1972)
ザ・ボス/暗黒街の標的 (1973)
マフィア・コネクション (1973)
イタリアン・コネクション (1973)
ビッグ・ガン (1973)

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