リチャード・マーシャル (軍人)

リチャード・ジャクリーン・マーシャルは、1895年6月16日にバージニア州で生まれ、アメリカ陸軍の軍人として生涯を捧げました。彼の軍歴は、第一次世界大戦での第1歩兵師団での戦いから始まり、第二次世界大戦では太平洋戦線でダグラス・マッカーサー元帥の右腕として活躍しました。

生い立ちと初期の軍歴

マーシャルは、軍人の家系に生まれました。母方の祖父は南北戦争で南軍の大佐を務め、遠戚にはジョージ・マーシャル元帥がいます。1915年にバージニア軍学校を卒業後、電力会社勤務を経て州兵に入隊。アメリカ＝メキシコ国境戦争に従軍後、正規軍の野戦砲兵隊に配属されました。

第一次世界大戦では、ヨーロッパ戦線に派遣され、ソワソンの戦い、サン・ミッシェルの戦い、ミューズ＝アルゴンヌ戦線などを転戦。負傷により一時療養しましたが、終戦時には大佐に昇進しました。

戦間期とフィリピン勤務

戦後、アメリカ陸軍需品科に配属されたマーシャルは、フィッツシモンズ病院の建設、フォート・ベニング勤務、需品学校での学習などを経て、1929年にフィリピンに派遣されました。スービック湾防衛部隊の需品担当として、コレヒドール島のフォート・ミルズに駐在し、マリンタ・トンネルの掘削工事を担当しました。このトンネルは後の第二次世界大戦でマッカーサーの指揮所として利用されることになります。

1939年、マッカーサーの要請で再びフィリピンへ。需品部門だけでなくフィリピン軍幹部の養成にも尽力しました。1941年7月にはアメリカ極東陸軍が創設され、マーシャルは参謀次長に就任。マッカーサー、参謀長のサザランドと共に、この組み合わせは日本占領時代初期まで続くことになります。

太平洋戦争と「バターン・ギャング」

1941年12月8日の真珠湾攻撃後、マーシャルは准将に昇進。日本軍の進撃により、マニラが危機に瀕すると、マッカーサーは極東陸軍をバターン半島とコレヒドール島に撤退させる計画を立てます。マーシャルは、マニラからの退却を円滑に進めるために尽力し、コレヒドール島に脱出。

マッカーサーがオーストラリアへ脱出する際、マーシャルも同行し、いわゆる「バターン・ギャング」の一員となりました。南西太平洋方面軍が創設されると、マーシャルは引き続き参謀次長を務め、マッカーサーによるフィリピン奪還作戦を支えました。サザランドが不在の際は参謀長代理を務め、軍のナンバー2として活躍しました。

日本占領とその後

1945年8月15日の終戦後、マーシャルは日本の降伏文書調印式に出席。連合国軍最高司令部（GHQ）の組織整備に伴い、一時的に南西太平洋方面軍部門の参謀次長となりました。その後、サザランドの後任としてマッカーサーの参謀長に就任しますが、新しい世代の台頭もあり、目立った活躍の場面は少なくなりました。

1946年、マーシャルはバージニア軍学校校長の職を打診され、日本を離れました。退役後は同校の校長として尽力。その後、トルーマン大統領からフィリピンの経済調査を行う副官に任ぜられました。

1952年に脳血管障害を患い、公的な活動から引退。1973年にフロリダ州で死去し、アーリントン国立墓地に埋葬されました。

受賞歴

マーシャルの軍歴における受賞歴は、第一次世界大戦でのシルバースター、第二次世界大戦での殊勲十字章、陸軍殊勲章などがあります。また、フランス、オランダ、フィリピンからも勲章を授与されています。

リチャード・ジャクリーン・マーシャルは、軍人としての卓越した能力と、マッカーサーを支えた忠実な幕僚として、歴史に名を残しました。彼の生涯は、アメリカ軍の歴史における重要な一部であり、その功績は今も語り継がれています。

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