リック吉村

リック吉村のプロボクサーとしての道のり

リック吉村は1965年2月12日にニューヨークで生まれ、本名はフレデリック・ロバーツです。12歳でボクシングを始め、1983年にプロデビューを果たしましたが、アメリカでは2戦して2回の判定負けを喫しました。その後、1985年に米国空軍に入隊し、青森県三沢市の米軍三沢基地に配属されることに。この転機が彼のキャリアに大きな影響を与えることになります。

リックは八戸帝拳ジムに入門し、日本では1987年に6回戦で初勝利を飾ります。1990年、彼は日本スーパーライト級王者に挑戦し、6回TKO勝ちで見事に王座を手に入れました。その後、2度の防衛に成功し、ボクシングシーンでの地位を確立しました。

ところが、1991年3月にはソ連出身のスラフ・ヤノフスキーに敗れ、スーパーライト級王座から陥落します。1992年には横田基地に転任し、石川ジムに移籍。1993年には日本ライト級王者に挑戦し、TKO勝ちを収めて2階級制覇を達成しましたが、初防衛戦では坂本博之に敗れ、再び王座を失うことになりました。

坂本との試合後、リックは右肩を骨折し、回復に時間がかかりましたが、1995年には前田宏行と対戦し、判定勝ちで王座に復帰しました。以降、彼は全階級通じて最多となる22度の日本チャンピオン防衛を達成しましたが、2000年にフロリダ州に転任となり、引退の危機に直面します。しかし、特例として現役続行が認められ、2001年にWBA世界ライト級王者・畑山隆則への世界挑戦を果たしました。この試合は引き分けに終わりましたが、リックの努力は高く評価されました。

リックはその後、37歳を迎えますが、JBCの規定により本来ならば引退することになっていました。しかし、「元日本王者」「世界挑戦経験者」として特別に継続が許されています。2002年にはOPBF東洋太平洋スーパーライト級王者・佐竹政一との試合に挑みますが、判定による敗北を喫し、その後は一時的に引退状態に入りました。2003年には再び横田基地に転属となり、現役復帰を果たしますが、最後の試合である長嶋健吾との非タイトル戦で判定負けを喫し、正式に引退を決意します。

リック吉村の引退後、彼は漫画『はじめの一歩』のキャラクター、ジェイソン尾妻のモデルとなっていることでも知られています。2008年、米国空軍を退職した後は、「Rick Yoshimura's Ringside Fitness Gym」を開設し、幅広い年齢層の人々を対象にボクシングやフィットネスの指導を行っています。彼のジムは、老若男女が集まり、ボクシングを通じて健康を維持しようとする場所となっています。リック吉村は、自らの経験と知識を活かし、多くの人々にボクシングの楽しさを伝える役割を果たし続けています。

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