リッサ海戦

リッサ海戦

リッサ海戦（リッサかいせん、イタリア語：Battaglia di Lissa）は、1866年7月20日にアドリア海リッサ島沖で行われた海戦です。この戦闘は普墺戦争における決定的な局面の一つで、イタリア海軍とオーストリア海軍の間で繰り広げられました。結果としてオーストリアが勝利を収めたこの戦闘は、海軍戦術の進展における重要な教訓を残しました。

背景

普墺戦争は、オーストリア皇帝とプロイセン国王の間の対立から始まり、イタリア王国も参戦することで南欧に戦火が広がりました。イタリア王国軍は、国家統合の成就からわずか5年後の戦いであり、当時の国軍は各地域の軍隊が統合された状態でした。そのため、指揮系統や旧軍兵士の処遇に問題を抱え、混乱が生じていました。

特に、旧両シチリア王国の軍兵士の間には反抗があり、これが戦闘能力に影響を及ぼしました。イタリア軍は複数の部隊に分かれ、老舗のオーストリア軍との戦いにおいて苦戦を強いられました。主力部隊がクストーザの戦いで敗北した後は、義勇兵ガリバルディ率いるアルプス軍団が短期間の勝利を収めるも、全体の戦局は依然不利な状況でした。

1866年7月にオーストリアがプロイセンに大敗を喫した報せを受け、イタリア政府は海軍にさらなる攻勢を指令しました。7月15日に艦隊が出撃し、リッサ島に向けた艦砲射撃を開始しましたが、海軍内でも内部対立が続いていました。

戦闘経過

海戦は7月20日の午前10時30分に始まりました。イタリア艦隊は装甲艦9隻、オーストリア艦隊は装甲艦7隻と非装甲艦14隻から構成されていました。イタリアの司令官ペルサーノ提督は、混乱を招く形で旗艦を変更するミスを犯し、戦隊の統率に悪影響を及ぼしました。このため、イタリア艦隊は装甲艦の多くが分散した状態で海戦に突入せざるを得なくなります。

戦闘の初期、イタリアの旗艦「レ・ディタリア」がオーストリア艦隊の集中砲火を受け、舵を損傷し、続いて衝角攻撃によって沈没しました。この間に、他のイタリア艦艇も徐々にオーストリア艦隊から攻撃を受け、後衛が分断される事態に至りました。これによりイタリア艦隊は徐々に劣勢に立たされ、戦闘はさらに厳しく進展していきました。

オーストリア艦隊はイタリア艦隊の混乱を利用し、効果的な攻撃を展開しました。特に、「パレストロ」艦は致命的な損傷を受けつつも、艦長が艦艇と共に命を捨てる決意を示し、最終的に火薬庫の爆発によって沈没しました。12時30分には戦闘が中断され、日没を迎え両軍は撤退しました。

結果と影響

リッサ海戦は、非装甲艦が装甲艦に対抗できないことを証明した重要な戦いだっただけでなく、衝角戦術の有効性を再認識させる契機ともなりました。しかし、技術の進歩により、後に衝角攻撃が通用しない時代が到来することになります。

この戦闘により、オーストリアのヴィルヘルム・フォン・テゲトフ提督は名声を確立しました。一方、イタリアのペルサーノ提督は戦後の報告で事実を歪曲したため、敗北責任のみならず自己の信頼性も失う結果となり、退役に追い込まれました。

リッサ海戦は、戦術の進化や指揮官の資質が戦局に大きく作用することを改めて教えてくれる歴史的な出来事であり、当時の海軍戦術における革新的な一歩として記憶されています。

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