リップ・ヴァン・ウィンクル

リップ・ヴァン・ウィンクル

ワシントン・アーヴィングによって1819年に発表された短編小説、およびその主人公の名前。アメリカ文学における最初期の短編小説の一つとして知られています。

あらすじ

物語の舞台は、アメリカ独立戦争後のニューヨーク州。主人公のリップ・ヴァン・ウィンクルは、気楽な性格の樵で、口うるさい妻に悩まされながらも、ハドソン川とキャッツキル山地の豊かな自然を愛していました。

ある日、彼は愛犬を連れて狩りに出かけますが、森の奥深くへと迷い込みます。そこで、見慣れない老人に名前を呼ばれ、導かれるままに山奥の広場へ。そこでは、奇妙な男たちがボウリングの原型のような遊戯に興じており、リップは彼らから酒を勧められ、共に酒盛りを楽しみます。しかし、深酔いしたリップはそのまま眠り込んでしまいます。

長い眠りから覚めたリップが山を下りて村に戻ると、そこは彼の知る場所とは全く異なっていました。友人たちは皆年老い、アメリカは独立国となり、妻はすでに亡くなっていました。なんと、彼が眠っている間に20年もの歳月が流れていたのです。

タイトルと人名について

「Rip Van Winkle」はオランダ語に由来する名前で、「WinkleのRip」という意味を持ちます。Ripは個人名から派生した愛称、Van Winkleは「～の出身」を意味する言葉です。アメリカ[[英語]]では、「Rip Van Winkle」は「時代遅れの人」「眠ってばかりいる人」を指す慣用句としても使われます。

日本への影響

本作は、「主人公にとって短い時間に感じられたものが、実際には長い年月が経過していた」という点で、日本の浦島太郎の物語との類似性が指摘されています。日本では、森鷗外が『新世界の浦島』として初めて完全な形で翻訳しました。また、片岡政行は浦島太郎の英訳に「浦島：日本のリップ・ヴァン・ウィンクル」という題名を付けています。

多様な展開

『リップ・ヴァン・ウィンクル』は、様々な形で人々に親しまれてきました。アーサー・ラッカムによる挿絵本は、美しいイラストと共に物語を堪能できる一冊です。また、ジョゼフ・ジェファーソンは舞台やサイレント[[映画]]でリップ役を演じ、その名を知らしめました。フランシス・フォード・コッポラ監督によるテレビドラマも制作されています。

影響

本作に影響を受けた作品も数多く存在します。日本の映画『野獣死すべし』やゲームソフト『トワイライトシンドローム 究明編』では、物語の一要素として本作が引用されています。また、岩井俊二監督の映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』は、タイトルこそ本作を連想させますが、直接的な関連はありません。

『リップ・ヴァン・ウィンクル』は、時代に取り残された男の物語として、今もなお多くの人々に愛され、様々な形で影響を与え続けています。

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