リトルリーガーズショルダー

リトルリーガーズショルダー（Little leaguers shoulder）

リトルリーガーズショルダーは、特に少年野球選手に見られる肩のスポーツ障害で、上腕骨近位骨端成長軟骨板の炎症または損傷を指します。リトルリーガー肩、リトルリーグ肩、少年野球肩とも呼ばれます。

発生機序

人間の骨、特に上腕骨のような長管骨は、生まれた直後は骨端が軟骨でできています。成長とともに骨化が進み、硬い骨に変わっていきます。成長期の子どもの上腕骨には、骨端に骨化前の軟骨が残っており、この部分がリトルリーガーズショルダーの発生に深く関わっています。

投球動作において、腕を強く振ると、フォロースルーの際に上腕骨の肩に近い側の骨端成長軟骨板に大きな力が加わります。この繰り返しによる過剰な負荷が、炎症や微細な損傷を引き起こす主な原因です。成長軟骨板は、成人の骨に比べて強度が低いため、このような外力に弱いという特徴があります。

症状

主な症状としては、投球時の肩の痛み、可動域の制限、圧痛などが見られます。初期には投球後に痛みを感じる程度ですが、症状が進行すると、投球中や日常生活でも痛みを感じるようになることがあります。重症化すると、骨端線離開（骨端線が離開すること）を引き起こすこともあります。

診断

診断は、問診、身体所見、X線検査などに基づいて行われます。X線検査では、骨端成長軟骨板の幅の拡大や不整像が認められることがあります。MRI検査を行うことで、より詳細な状態を把握することも可能です。

治療

治療の基本は、安静、冷却、消炎鎮痛剤の投与などです。投球を中止し、肩への負担を軽減することが重要です。痛みが強い場合は、ギプスや装具で固定することもあります。症状が改善してきたら、徐々にリハビリテーションを開始し、肩の可動域や筋力を回復させます。早期に適切な治療を行えば、ほとんどの場合、後遺症なく治癒します。

予防

リトルリーガーズショルダーの予防には、以下の点が重要です。

投球数の制限：過度な投球は避け、適切な休息を取る。
正しい投球フォームの習得：体に負担のかからないフォームを身につける。
ウォーミングアップとクールダウン：投球前後のストレッチや軽い運動を行う。
筋力トレーニング：肩周りの筋肉を強化する。
メディカルチェック：定期的に医師の診察を受け、異常があれば早期に対応する。

まとめ

リトルリーガーズショルダーは、適切な予防と早期治療によって、重症化を防ぐことができるスポーツ障害です。指導者や保護者は、子どもの肩の痛みに注意し、早期発見・早期治療に努めることが大切です。

参考文献

社団法人全国柔道整復学校協会・教科書委員会『柔道整復学ー理論編（改訂第5版）』南江堂、2009年。

外部リンク

* 日本整形外科スポーツ医学会 - リトルリーグ肩

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