リバスチグミン

リバスチグミン（Rivastigmine）

リバスチグミンは、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬の一種であり、主にアルツハイマー型認知症（AD）の治療に用いられます。スイスのノバルティス ファーマ社で開発された経皮吸収型製剤（パッチ剤）として、「イクセロンパッチ」（ノバルティス ファーマ）と「リバスタッチパッチ」（小野薬品）の2つの製品名で知られています。

作用機序と効果

アルツハイマー型認知症は、脳内の神経伝達物質であるアセチルコリンの減少が原因の一つと考えられています。アセチルコリンは記憶、思考、行動において重要な役割を果たしています。リバスチグミンは、コリンエステラーゼという酵素の働きを阻害することで、アセチルコリンの分解を抑制し、脳内のアセチルコリン量を増加させます。これにより、認知機能の低下を遅らせる効果が期待できます。

承認状況

リバスチグミンは、2007年に米国で最初に承認され、その後、EUをはじめとする世界82の国と地域で承認されています（2011年1月時点）。英国のNICE（国立医療技術評価機構）は、軽度から中程度のアルツハイマー型認知症に対して、ドネペジルやガランタミンとともに、リバスチグミンを治療の選択肢の一つとして推奨しています。

日本では、ノバルティス ファーマと小野薬品が共同で経皮吸収型製剤を開発し、2011年4月に「軽度および中等度のアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制」の効能・効果で製造販売承認を取得しました。2012年8月には、投薬期間の制限が解除されています。

特徴

リバスチグミンパッチは、日本初の貼付タイプのアルツハイマー型認知症治療薬です。1日1回の貼付で効果が持続するため、投与が簡便で、患者さんの服薬管理が容易になるという利点があります。また、経口薬と比較して消化器への影響が少なく、他の薬剤との相互作用も少ないとされています。

副作用

治験では、約8割の患者さんに副作用が報告されています。主な副作用としては、貼付部位の紅斑、かゆみ、接触性皮膚炎、浮腫、嘔吐、吐き気、食欲減退、皮膚剥脱などがあります。重大な副作用としては、狭心症、心筋梗塞、徐脈、房室ブロック、洞不全症候群、食道破裂を伴う重度の嘔吐、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃腸出血、脳血管発作、痙攣発作、失神、幻覚、激越、せん妄、錯乱、脱水、肝炎などが報告されています。

使用上の注意

リバスチグミンの使用にあたっては、添付文書をよく読み、医師や薬剤師の指示に従ってください。特に、以下のような点に注意が必要です。

貼付部位を毎日変更し、皮膚への刺激を避ける。
貼付部位に異常が現れた場合は、医師に相談する。
副作用が現れた場合は、速やかに医師に連絡する。
他の薬剤との併用については、必ず医師または薬剤師に相談する。

その他の情報

脳卒中後の意識障害に対するリバスチグミンの効果も報告されています。ある研究では、脳卒中後に1ヶ月以上意識障害が続いている患者さんにリバスチグミン貼付薬を使用したところ、改善が見られたという結果が出ています。

参考情報

ノバルティスファーマ医療関係者向けサイト
イクセロンパッチ海外製品サイト
小野薬品工業株式会社
e-movie「バアちゃんの世界」（認知症 病院紹介―笑顔とこころでつながる医療 リバスタッチ.jp 小野薬品工業）

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