リバーズ・エンド

ライトノベルシリーズ『リバーズ・エンド』は、作家・橋本紡氏が手掛け、イラストを高野音彦氏が担当した作品です。メディアワークス（現アスキー・メディアワークス）の電撃文庫より、2001年12月から2003年7月にかけて本編全5巻が刊行され、さらに本編の1年後を描いた『リバーズ・エンド after days』が2004年6月に発売され、全6巻となりました。

物語の主な舞台は、「スクール」と呼ばれる外界から隔絶された施設。ここに集められた少年少女たちの間で展開される人間ドラマと、彼らの日常を侵食する謎や不可思議な現象が描かれます。

あらすじ

物語は、ごく普通の高校生活を送っていた主人公、瀬川拓己の携帯電話に届いた一通のメールから始まります。このメールがきっかけとなり、メインヒロインである藤木唯との特別な関係が生まれます。拓己はこの平穏な日々が続けばと願いますが、その願いは長くは叶いません。彼らの身の回りで次々と起こる不可解な現象、そして唯との出会いを境に、拓己の日常は確実に、そして大きく変容していきます。

主要登場人物

瀬川拓己（せがわ ひろき）: 物語の語り手。内向的で、自分の考えよりも親の意向を優先しがちな性格です。藤木唯に深い恋心を抱いています。特異な存在である「バグス」との戦いにおいて重要な役割を担う可能性から、伊地知や柚木からは「デウス・エクス・マキナ（機械仕掛けの神）」とも呼ばれています。
藤木唯（ふじき ゆい）: メインヒロイン。自身の過酷な未来を知らされながらも、周囲に優しい笑顔を見せる強い心を持っています。瀬川拓己とは互いに惹かれ合いますが、物語の早い段階で生死に関わる出来事に遭遇します。一度は脳機能が停止した状態に陥りますが、後に脳細胞の修復を経て覚醒。しかし、その過程で過去の記憶や言語を含む全ての知識を失っており、当初は赤ん坊のような状態でした。拓己が献身的に言葉や文字を教え続けた結果、『after days』では年相応の思考を取り戻し、話すこともできるようになります。過去の唯の仕草を受け継いでいる可能性が示唆されますが、記憶が戻ることはないとされています。拓己のことを「拓くん」と呼び、深く慕っています。
紺野七海（こんの ななみ）: 本編の2巻以降、ヒロインの一人として登場します。家族との問題を抱え、リストカット行為が親に知られたことがきっかけでスクールへ入所します。自身の苦しみを知っても目を背けず、その痛みを理解しようとした拓己に片思いをしています。
二ノ宮直人（にのみや なおと）: スクール生徒。物語の初期は拓己に対して敵意を抱いていました。病弱な妹のことを常に気にかけており、このことも含めて唯に対して特別な感情を抱いていましたが、後に人間ではない存在としての苦悩を抱える十條遥に心を寄せ、『after days』では彼女に贈り物をします。八坂茂とは親友です。
その他のスクール生徒: 八坂茂（四方弥生と両思い）、五島孝弘（四方弥生に片思い）、四方弥生（八坂茂を想う、母親の恋愛傾向に不安を抱える）、十條遙（SIFMAによって造られた存在で、人間になることを願う）など、個性豊かな生徒たちが登場します。
SIFMA関連人物: 伊地知響子（冷静沈着な主査）、柚木阿子（研究者の娘で、生徒たちに同情的）などが物語の重要な鍵を握ります。

世界設定

SIFMA（シフマ）: 約12年前に日本の情報衛星が受信した、驚くべき謎の信号。これは400年後の火星から送信されたもので、未来の通信技術や社会情勢、そして人類の敵「バグス」に対抗するための情報を含んでいました。特に瀬川拓己と藤木唯に関する情報は極めて重要視され、複数回にわたり繰り返し送信されています。
バグス: 400年後の未来で異世界から現れ、人類を侵略した種族。常に形を変容させますが、ヒトデのような姿になることが多いです。表面は陶器のような光沢を持ち、大小様々な個体が存在し、空中を浮遊します。二度にわたる侵略を行い、二度目の戦いで人類を絶滅に追い込みました。高度な技術を持ち、一匹の巨大な女王を中心とした生態系を持ち、女王を滅ぼせば種全体が滅亡するとされています。

本編である全5巻の物語は完結していますが、その後の主要人物たちを描いた『リバーズ・エンド after days』が続いて刊行され、彼らの更なる歩みが描かれています。また、本編とは異なる番外編「りばあずえんど めいどきっさばんざい」も存在し、一部で収録されています。

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