リバーブレーター

リバーブレーターとは

リバーブレーターは、ホールや教会などの音響空間で発生する残響効果を、人工的に作り出すエフェクター、または音響機器です。自然な残響そのものもリバーブと呼ばれ、現象としてはリバーブレーションと表現されます。

主なリバーブレーターの種類

エコー・チェンバー

残響を生成するために特別に設計された部屋です。可動式のスピーカーとマイクロフォンを設置し、距離や角度を調整することで、残響の質感や減衰時間をコントロールします。歴史的なレコーディングスタジオには常設されていることが多く、電話回線を通じて外部スタジオから利用されることもありました。

プレート・エコー

大きな鉄板を使用するリバーブレーターです。鉄板の一端に取り付けられたドライバーユニットで音声を振動させ、反対側に取り付けられたピックアップでその共鳴を拾います。代表的な機種としてEMT-140が挙げられます。

スプリング・リバーブ

複数本のバネを束ねて使用するリバーブレーターです。バネを振動させることで独特の共鳴を発生させ、それをピックアップで拾います。AKG BX-20が有名で、冷蔵庫ほどの大きさがあります。「バネ臭い」と評される独特の音色が特徴ですが、現在ではその音もスプリング・リバーブの個性として認識されています。フェンダー社製のギターアンプにも小型のスプリング・リバーブ・ユニットが搭載されています。

デジタル・リバーブ

1970年代後半に登場したリバーブレーターです。実際のリバーブレーションのプロセスを電子的にシミュレートして残響を生成します。ディレイ音を多数発生させ、減衰の過程で音色を変化させることで、多様な残響音を再現します。

サンプリング・リバーブ（コンボリューション・リバーブ）

実際のホールや教会などでパルスを発信し、その応答をサンプリングしたデータを利用するリバーブレーターです。インパルス応答と入力信号を畳み込むことで、空間の特性を忠実に再現したリアルな残響を生成します。DAWプラグインとして安価に利用できるようになり、ユーザーが独自のサンプリングデータからリバーブを生成することも可能です。

物理モデリング・リバーブ

部屋やホール内の空気の状態を物理的に計算し、よりリアルなリバーブを再現する技術です。現在のところ、音楽用エフェクターとしては実用化されていません。

ゲート・リバーブ

リバーブレーターの機種ではなく、使用方法の一種です。深めのリバーブをかけた音をノイズゲートでカットすることで、独特の効果を生み出します。特にスネアドラムによく使用され、1980年代の音楽で多用されました。

デジタル・リバーブレーターの変遷

初期のデジタル・リバーブは、DSPやメモリーの制約から、音質やリバーブタイムに制限がありました。その後、EMT 250やQUANTEC QRSなどの登場により、音質が向上しました。AMS rmx-16は、ルーム系のAmbienceとNon-Linモードがヒットし、1980年代の音楽に貢献しました。Lexiconは、224X、480L、PCM-70など、数々の名機を開発し、現在でもデジタル・リバーブレーターの中心的な存在です。

ソニーは、EMTのプレート・エコーを再現するためにDRE-2000を開発しました。また、最初期のコンボリューション・リバーブレーターであるDRE-S777を発売しました。ヤマハはREV-1で、使いやすいインターフェースと上品なリバーブ成分を提供しました。

廉価版のデジタル・リバーブが登場したことで、プロのスタジオだけでなく、一般の音楽制作環境にも普及しました。

DAWプラグインの変遷

初期のDAWプラグインは、ディレイを組み合わせたものが多く、ハードウェアのリバーブレーターには及ばない部分がありました。しかし、モデリング技術やアルゴリズムの改良により、ハードウェアに匹敵するクオリティに近づいています。サンプリング・リバーブは、実際の空間で収録したインパルス応答を元にすることで、非常にリアルな残響を再現します。

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