リベンジャー・スクワッド 宿命の荒野

リベンジャー・スクワッド 宿命の荒野：1847年のアイルランドを舞台にした壮絶な復讐劇

1847年、イギリスの支配下にあったアイルランドは、ジャガイモ飢饉による悲惨な状況にありました。この時代を舞台に、家族を奪われた脱走兵の復讐と、彼を追う者たちの物語を描いたのが映画『リベンジャー・スクワッド 宿命の荒野』です。

主人公は、英軍から脱走したアイルランド人兵士フィーニー。故郷に戻った彼は、想像を絶する悲劇に直面します。病で母を亡くし、弟は軽微な罪で処刑され、弟の妻と子供たちは家を追われ餓死していたのです。フィーニーは、愛する家族を死に追いやった者たちへの復讐を決意します。

一方、イギリス軍は脱走兵フィーニーの逮捕に乗り出します。派遣されたのは、冷酷なポープ大尉と、死刑囚でありながら元アイルランド警察の警部補であるハナ。ハナは、過去の因縁からフィーニーを執拗に追います。

フィーニーは、追手を巧みにかわしながら、復讐の連鎖を次々と実行していきます。彼の標的は、土地所有者であるキルマイケル卿をはじめ、家族を苦しめた者たちです。復讐の過程で、フィーニーとハナの過去に隠された因縁も明らかになっていきます。それは、かつてハナがフィーニーの命を救っていたという事実でした。

クライマックスでは、フィーニーはキルマイケル卿を捕らえます。ハナはフィーニーを撃つ機会を得るも、過去の恩義を思い出し、それをためらいます。その結果、ハナは逮捕され、処刑されることに。しかし、処刑の瞬間、フィーニーは反撃を開始し、ハナは脱出に成功します。フィーニーは、キルマイケル卿を囮として利用し、混乱に乗じてポープたちを欺きます。その結果、キルマイケル卿はポープによって誤って射殺されてしまいます。

ハナとフィーニーは共に逃亡を試みますが、ポープに襲撃され、フィーニーは重傷を負います。死に瀕したフィーニーは、ハナに「戦わずにアメリカに行け」と告げ、息絶えます。

物語の結末は、開放的です。ハナはポープを追うのか、それともフィーニーの遺言通りアメリカへ向かうのか、その選択は観客に委ねられています。キルマイケル卿の遺体が運ばれる中、ポープは静かにその場を去っていく様子が描かれ、映画は幕を閉じます。

この映画は、ヒューゴ・ウィーヴィングがハナ役、ジェームズ・フレッシュヴィルがフィーニー役を演じるなど、豪華なキャストを擁しています。監督はランス・デイリー。2016年11月から2017年1月にかけて、アイルランド各地で撮影が行われました。

Rotten Tomatoesでは批評家の78%が高評価を与え、Metacriticでも高い評価を得ています。美しくも厳しいアイルランドの風景と、壮絶な復讐劇、そして過去と現在の複雑な人間模様が絡み合う、見応えのある作品です。2018年ベルリン国際映画祭で初上映され、日本では2021年4月1日にWOWOWで「ジャパンプレミア」として放送されました。

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