リャスナ

リャスナ（ウクライナ語・ロシア語: Рясна）は、中世ルーシ（現在のウクライナ、ロシア、ベラルーシを中心とした地域）で用いられた装飾品であり、主に女性の頭飾りとして使用されました。ココシニク（ロシアの伝統的な頭飾り）の外郭を飾るリボンの両面を挟み込むように固定して身につけられていました。

概要

モンゴル侵攻以前の時代、リャスナは金、銀、銅などの金属で作られ、側頭部に吊り下げられました。小さな金属板を連結させるか、鎖状につなぎ合わせる方法が用いられ、その長さは50cmに達することもあったようです。先端にはコルト（kolt）と呼ばれるペンダント状の装飾品が取り付けられることもありました。他の頭飾りと組み合わせて使用するだけでなく、リャスナ単独で身につけられることもありました。リャスナは、キエフ、チェルニーヒウ、スタラヤ・リャザン（旧リャザン）、ノヴゴロド、モスクワ周辺など、ルーシの主要な都市や地域で発見されています。

時代が下るにつれて、リャスナの素材やデザインも変化していきました。15世紀から17世紀にかけては、真珠や宝石がふんだんに用いられ、より豪華な装飾へと変化しました。19世紀から20世紀初頭にかけては、上流階級の女性たちがカーニバルの衣装としてリャスナを飾りとして使用しました。一方、一般民衆の民族衣装に用いられるリャスナは、糸、織物、ビーズなどを用いた房状のペンダントが、縞状の織物に付けられており、頭飾りの下部に飾り付けられました。このように、リャスナは社会階層や用途によって異なるデザインや素材が用いられていました。

リャスナは、中世ルーシの女性たちの美意識や文化を反映した装飾品であり、その多様なデザインや素材は、当時の社会や経済状況を示す貴重な資料となっています。

参考文献

Рыбаков Б. Декоративно-прикладное искусство Руси X-XIII веков. Иллюстрированный альбом. Издательство "Аврора", Ленинград, 1971 г

外部リンク

Описание рясен // Ювелирное искусство Древней Руси

関連項目

キエフ大公国#工業
キエフ・ルーシ期の都市#産業

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